http://blog.shojimiyata.com/event/evernote_uiux_logo.html『Evernoteのロゴはなぜ象なのか?』Evernoteのロゴ制作話を聞いてWEBディレクター視点で思ったことmiyasho88 blog
この記事の所要時間: 約 8分36秒

もう1ヶ月近く前の話ですが、『Evernote クリエイティブディレクター Gabe氏によるデザイントーク「シリコンバレー流UI/UX/Brand Development」』というイベントに参加してきました。
Gabeさんがアップルの店舗デザインや、MacBookのパッケージデザインを担当したときの話、EvernoteのUI/UXの話、今後のUI/UXのトレンドの話など、盛りだくさんの内容だったんですが、その中でも特に「Evernoteのロゴを制作の話」を聞いてWEBディレクター視点でいろいろ思うことがあったので書いていきます。
やってはいけないことは「最初から編集し始める」こと
まずはロゴ制作の準備段階についての話。
●Gabeさんが言ってたこと要約
やってはいけないことは「最初から編集し始める」こと。
ロゴの制作を始めたとき、この企業が何をしようとしているのか知るために、できるだけ多くのいろいろな社員と話し、彼らが何に熱意を持っていて、何を目指しているのかできるだけ多くの情報を得ました。
とにかく「最初から編集するのはダメ絶対」と何度も話されていました。
●思ったこと:「はい、仰るとおり、ホントすみません」
ちょっと話がそれますが、日頃、ぼくがロゴやデザインの元になるアイディアを出したり、WEBサイトの企画をつくるき、下記のどちらかの手法でやっています。
【A】最初のヒアリングやブレスト段階で出た具体的なアイディアをブラッシュアップしていく
【B】とにかくヒアリングや調査やネタの収集に走り、締め切り直前でまとめる
これ明らかにそうなんですが、Bパターンで作ったアイディアや企画は、適度にひねりの効いた、自分で読みなおしてもスッと腹に落ちるものができるんですよね。
ぼくは月に2〜3本の企画書を書いていますが、やはりBパターンの方がウケがいいですし、採用される率も高いです。もちろん全部が全部ではないんですが、Aパターンは上辺っぽい企画で終わりがちです。
何かを作り上げる時には「作る」+「整える」という二段階の作業が必要です。最初の「作る」は「中心的な価値」を生み出す作業で、後半の「整える」は、生み出した価値をお客様に売ったり、見せたりするため、細部をキレイにし、体裁を整えて、パッケージする、みたいな作業です。(中略)
中心的な価値を高めようという努力をやめて「整える」という作業に入ったところで、その商品(サービス)価値の絶対値が確定してしまいます。「整える」ことによって本質的な価値が上がったりはしません。それは「見栄えを良くし、店頭で映え、見やすくなる」だけです。
ギリギリまで「まとめに入らない」能力 – Chikirinの日記
まあ、ほんとにそうですよね。(白目)
当然「それがわかってるなら、Aパターンのやり方はヤメればいいじゃん?バカなの?」ってなると思いますが、ポッと思いついたアイディアって、なんだか可愛くなっちゃうんでついつい育てちゃうんですよね・・・。
改めて「Bパターンの手法を実践しよう」「より気をつけよう」という良いキッカケになりました。
Evernoteの「象」のアイディが出るまで

Evernoteといえば象
次はナゼ「象」のロゴになったのかという話。
●Gabeさんが言ってたこと要約:
・とにかくいろんな人に話しを聞き、出来る限りアイデアをあつめた
・その中で「永久」と「集合体」がEvernoteの価値だと感じた
・「永久」 … いったんそこにデータが記憶されれば「永久」になる
・「集合体」 … 複数のノートが全体として集合した時に本当の価値が出る
・そこから「象」という発想が出てきた
・英語には「象は決して忘れ無い」というコトワザがある
・象という象徴は非常にユニークで、差別化できるものという感じがした
・シンプルなロゴが良いのは確かだが、あまりにシンプル過ぎると、つまらないものになる
・シンプルになりすぎないように、2つのアイデアを組み合わせることにした
・1つ目は「象は決して忘れない」
・2つ目は「ドキュメントのページの耳を折るように象の耳を折ってみた」
・シンプルなデザインも、もう一つの意味を込めることによって、覚えやすくなる。
● 思ったこと:「単純に上手いなあ」&「動物を使うWEBサービスが多い理由ってこれ?」
Evernoteのロゴは「なんで象なんだろう?耳がノートみたいだから?」と思っていたけど、“Elephants never forget. (象たちは決して忘れない)” という英語のことわざがあり、そこから着想を得たそうな。
どれだけ有名なことわざかは知らないけど、少なくともこのことわざを知っている人達には「象」のロゴ が、Evernoteのブランドの属性や、ベネフィットをうまく連想させてるんだろうなと想像できる。
また自分の話になるけど、ロゴやデザインの草案を考えるときって、ブランド要素(ビジュアル)からブランドイメージ(属性・ベネフィット・パーソナリティ)をどうやって連想させようかと考える。
でも、だいたい、とってつけたような連想アイディアしか浮かばないことが多い。
今回のEvernoteの例えでいえば「永久を表す “∞” のようなロゴにしよう」とか「ノートの集合体を表現する為に長方形のパッチワークのようなロゴにしよう」とかそういの。
だからこの「象」のアイディアは素直に上手いなあと思った。
キャラクターに動物を起用しているWEBサービスが多いのは、ただ流行っているというだけじゃなくて、そういうブランド連想を起させやすいって理由もあるのかなと思った。
(思っただけで特に検証はしていない)
Evernoteが「グリーン」になった理由

Mac Appstoreにドーンと掲載されるEvernote
最後にナゼEvernoteのロゴ&ブランドのカラーが「グリーン」になったのかという話。
●Gabeさんが言ってたこと要約:
・ロゴの色を何色にするかという話になった?
・象は灰色だからグレーで良いだろうというのはすぐ決った
・WEBサービスの大多数は「赤系」か「青系」の色を使用していた
・逆にグリーンを使っているWEBサービスや企業はほとんどいなかった
・差別化でグリーン=私たちというカラーリングにした
・グリーンにして正解だっと思う。
・なぜならAppleがキーノートセッション等でEvernoteのロゴを掲載してくれることがある
・だいたい、そういう紹介の仕方をされるとき、グリーンのロゴはEvernoteだけ
・Chrome AppStore, Amazon AppStore でも Evernote のロゴが使われている
・行く先々で考えもしなかったところで使われていることがある
●思ったこと:「自分はいつも真逆のことをしていた、場合によってはやり方はを変えよう」
ぼくがロゴやデザインの「色」を考えるとき、リニューアルを除き、ほとんどの場合、それは「新サービスに使う色」です。
自分が新サービスの色を考えるときには「これは○○系のサイトだ」と、ユーザーに瞬間的に認識してもらいたいので、「競合と似た系統の色」を採用する場合が多い。例えば「転職系のサイトとわかるようにテーマカラーは 青系 にしよう」という具合に、それがなんのジャンルのサービスかわかるように無難に似せた色にしてしまう。そして、その狭い中で差別化しようとしがち。
象のロゴが作られた当時、ノート系のアプリで突出した競合がいたかどうかは知らないけど、結果としてEvernoteのロゴというかブランドのカラーはグリーンで大成功している。Appleのキーノートや、Chrome AppStore、Amazon AppStore等でEvernoteのロゴがフィーチャーされるのは、単純にサービスとしてイケているからという理由はもちろんだろうけど「グリーンのアプリ=Evernote」が定着していることも、やはり大きな要因のひとつだと思う。
つい先日、LOFTでグリーンのカバー付きSHOTNOTEを見かけた。このカラーリングを見て真っ先にEvernoteを連想したし「これEvernoteとのコラボかな?欲しいな」と手に取る前に思った。SHOTONOTEは既に2冊持ってて、しかもあんまり使ってないのに。そして実際はコラボでもなんでもなかった。でも、これはぼくの中で完全に「グリーンのノート=Evernote」になっている証拠だ。きっと同じように刷り込まれてる人は多いはず。

Evernoteとのコラボ商品かな?と一瞬勘違いしたSHOTNOTEカバー
競合と似た色ばかりを選択するのではなく、プロダクトに自信があるなら、思い切って差別化される色を選択してもいいかもしれない、今後は選択していこうと思った。
まとめ
1.やってはいけないことは「最初から編集し始める」こと
2.象のアイディアはすごい上手い
3.ブランド属性やベネフィットをイメージさせるのに、例えば動物等アイコンを用いるのは、確かにいいアイディアかもしれない
4.なんのジャンルのサービスかわかるように色を選ぶのもいいけど、場合によっては思い切り色で差別化してみる
以上。
最後まで読んでくれてありがとう!