宮田昇始のブログ

Nstock と SmartHR の創業者です

SmartHR が組織運営で一番大切にしていること

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こんにちは、SmartHRの宮田です。

今回は、SmartHR社の経営、組織運営で一番大事にしている考え方を紹介します。

前提: スタートアップは難問がいっぱい

スタートアップを創業して成長させていく過程は、100個の問題を解いていくようなものだと思っています。

しかも1問1問がなかなか手強いです。

創業期は、「どんな社会インパクトを与えるのか?」「どの市場で勝負するのか?」「どんなプロダクトにするのか?」「最初のターゲットは誰?」「どうやって顧客にリーチする?」「どうやってマネタイズする?」「採用は?」「資金調達は?」などからはじまり、

事業が軌道にのっても、「どうしたらこの機能のUXを良くできるのか?」「CPAどうやって下げる?」「ARPUどうやって上げる?」「CRMは何がいいの?」「開発の優先順位は?」「評価制度どうする?」「内定したAさんのオファー金額は適正?」「知財ってどこから手をつければいいの?」「監査法人ってどうやって選ぶの?」などなど…

いつでも難問が山積みです。

解決策: 「100の問題を、100人で1問ずつ解く経営」

これら100問の問題を、社長が1人で解いていたらすごく時間がかかってしまいますよね。問題は次々と湧いて出てくるので、1問1問へのトライ&エラーは減り、正答率も低くなります。

そこで、SmartHRでは100の問題を社長が解くのではなく、「100人で1問ずつ解く」というスタイルをとっています。この考え方が、経営と組織運営のベースにもなっています。

メンバーが問題を1問ずつ見つけて解くことができれば、スピードは100倍になり、1問1問へのトライ&エラーを増やすことができ、正答率も高くなると思っています。

また、基本的には自分より優秀なメンバー、専門性が高いメンバーを採用しているので、社長が100人に分身するよりすごい結果が出ます。

実現するためにやっている2つのポイント

とは言え、いきなり「きょうからみんなで1問ずつ解きましょう!」と言っても「そんなこと急に言われても...」となると思います。

SmartHRでは「100人で1問ずつ解く経営」を実現するために2つのことを実戦しています。

ポイント1. 社長が持っている情報と、メンバーが持っている情報を同等にする

1つは会社の情報をフルオープンにすることです。私が持っている情報とメンバーが持っている情報をできるだけ同等にしています。

持っている情報が違うと意思決定も違ってきてしまいますが、同等だと意思決定が似てくるんです。そうすることで、先ほどの「各人が1問ずつ問題を見つけて解決していく」スタイルがやりやすくなってきます。

例えば、「ベンチャーキャピタルから出資の話を受けていたけど、〇〇という事業上の弱みを指摘されて断られました」という議事録を公開すると、みんな「確かに」と、弱みを潰すために動いてくれました。

そのためにどんな情報をオープンにしているかというと、重要なKPIはもちろん、会社の銀行口座の残高や、経営会議で話し合った議題やその議事録なども公開しています。

また、経営会議の議事録や決定事項などは、会社からの重要なお知らせとして、経営会議の後に、毎週20分ほど時間をとってメンバーに周知しています。

もっと言えば、経営会議には自由に参加できるようになっていて、会議メンバーは議題を持って参加できるようになっています。昨年の上半期は、4分の1以上のメンバーが経営会議に1回以上議題を持って参加していました。

会社の情報がフルオープンにされていれば、メンバーが自発的に課題に気付くことができ、解決していこうとする。

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ちなみに会議室(写真奥)は全面ガラス張りです。それに加えて「会議中も扉は閉めない」という運用をしています。

人間どうしても楽なほうに流れるので、「閉めきって話せる」と思うと情報もどんどんクローズにしてしまうんですよね。来客や経営会議、評価制度を設計するMTGでも、強い気持ちで開けっ放しで開催しています。

なお、オープンしていない情報が2つだけあります。「各人の具体的な給与」と「1on1(個人面談)の内容」です。給与を決定するMTGと、1on1のときのみ会議室の扉も締めます。

これ以外の情報は全てメンバーがアクセスできるようにしています。

追記: slack も超オープンです! f:id:miyasho88:20180216182147p:plain

ポイント2. 判断基準として、会社の価値観を定める

先程、「持っている情報が同等だと意思決定が似てくる」と言いましたが、正しくは「持っている情報が同等かつ、価値観が同じだと、意思決定が似てくる」だと思っています。

SmartHRでは、会社の価値観を定め、これをメンバーに求める行動規範や判断基準にしています。何ごとも多少の縛りやルールがあったほうが動きやすくなりますね。

また、定めただけでは機能しないので、日常的に使いやすいよう「口にだしやすさ」にこだわったり、評価制度に組み込むなどしています。

詳しく書こうと思ったのですが、長くなりそうなので価値観についてはまたの機会に。

なお、SmartHRの価値観は、下記の6つです。

  • 人が欲しいと思うものをつくろう
  • 早いほうがカッコイイ
  • 自律駆動
  • 最善のプラン C を見つける
  • ワイルドサイドを歩こう
  • 一語一句に手間ひまかける

コーポレートサイトにもう少し詳しく公開していますので、興味がある方はのぞいてみてください。 https://smarthr.co.jp/mission

結果: テレビCMもいつの間にか準備がはじまっていた

「100人で1問ずつ解く経営」を実戦した結果、組織のいたるところで大きな意思決定が行われるようになってきました。

例えば、昨年8月にテレビCMを打ったのですが、それは経営陣が決めたわけではないんです。

「ちょっとマス広告について調べておいて」とマーケティングのメンバーに伝えたら、「8月にテレビCM打ちましょう。理由はこれ。代理店はここ。予算はこれくらいでいいですよね?」とほとんど決まっていて、その時は「いつの間に……」と驚きました。

高額な資金を使う場合は、経営会議の議題にしますが、その前にメンバーがいろいろ調査して、自ら判断して、「このタイミングで、この打ち方をするのがベストだと思います」と提案してくれました。

よく「組織の30人壁、50人の壁」と言いますが、メンバーが増えたからといって、意思決定が遅くなるとは思っていません。変わらないスピードをキープできると思っています。

SmartHR で社長と一緒に人事やりませんか?

ちなみに「100の問題を◯人で◯問ずつ解く」という考え方は、SmartHR社がまだ9名だったとき、AnyPayの木村さんから教わりました。

ものすごく刺さり、すぐに実行に移そうと、翌週から開発MTGに参加するのを止めました。

起業する前はずっとWebディレクターをやっていたこともあり、プロダクト開発が大好きでしたし、当時はSmartHRローンチからまだ半年くらいで、そのタイミングから任せるのには勇気も必要でした。

しかし、早いタイミング任せることができたこともあって、ものすごく強い開発チームができあがりましたし、開発の質やスピードも上がったと感じています。

いまでは開発だけでなく、ビジネス側も、お金も、ほぼメンバーにまかせており、自分がやっていることは人事くらいです。

その人事も、もっと専門性が高い人達に任せたいと思っています。

ということで、SmartHRで人事やりませんか?

募集職種

  • 人事企画(制度の企画や運用)
  • 採用担当(ビジネスサイド専属 or 開発サイド専属)
  • 人事マネージャー(CHRO候補)

など、3名ほど採用したいと思っています。

いま SmatHR には採用担当が1人だけで奮闘してくれているのですが、4名まで増やして強いチームをつくりたいと思っています。

ちなみに、さっき公開したばかりの人事企画の募集👇です。

www.wantedly.com

その他、エンジニアや営業、コーポレートなど、ほぼ全方位で採用していますので、採用ページのぞいてみてください。

smarthr.co.jp

よろしくお願いします!!!

次回予告

『透明性の高い組織を追求したら社長の存在感まで透明になって消えそうです>< 助けてください』

お楽しみに...