宮田昇始のブログ

Nstock と SmartHR の創業者です

SaaS企業の「営業」に求められるスキルと素質

こんにちは、SmartHRの宮田です!

今回はSaaS(≒サブスクリプション型ビジネス)の営業に求められるスキルや素質について、思っていることを書いてみました。

軽い気持ちで書き始めたら、6,000字を超える超大作になってしまいました・・・😇

世界がサブスクリプション型ビジネスに飲み込まれる

身の回りを見渡してもサブスクリプション型のサービスが増えていますよね。

SmartHR社でもSalesforceや、Github、Slack、Onelogin、GoogleAppsなど様々なサブスクリプション型のサービスに課金しています。

個人としても Apple Music や Dropbox 、Netflix、Hulu、AmazonPrime 、会社近くのランニングステーションなど、サブスクリプション型サービスへの課金が増えてきました。

また、ZOZOが定額制のおまかせ便をはじめたり、ベンツやBMWも定額制サービスを検討開始するなど、これまで買い切りだったジャンルにもサブスクリプション型はひろまっています。

また、サブスクリプション型はその成長も早いです。

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これは先日NY証券取引所への上場を発表したZuora社のKeynoteからの抜粋です。サブスクリプション型の企業は、米国の代表的な500銘柄と比べ、9倍のスピードで成長しているそうです。

国内でSaaSの営業マンの需要は高まっていく

一方、SaaSの営業経験がある人材は、国内ではかなり希少です。

SaaSが新しいビジネスモデルであると同時に、日本国内には数えるほどしかSaaS企業が存在していないからです。

おそらく皆さんもパッと思い浮かぶのは SmartHR、Sansan、トレタ、マネーフォワード、freee、他数社くらいではないでしょうか?

しかし、SaaSビジネスをはじめる企業はどんどん増えています。

スタートアップ系のピッチイベントでも、登壇企業の半数をSaaS企業が占めることも珍しくありません。また、大企業が既存事業をサブスクリプション型に切り替えたり、新規事業でSaaSビジネスをリリースしたりすることも増えてきています。

実は、SaaSの営業に求められるスキルは、従来の「売り切り型ビジネス」の営業とは大きく異なるので、SaaSの営業を極めると市場価値が爆上がりすると思います。(ちなみに弊社でもめちゃくちゃ欲しています。)

SaaSビジネスの特徴

本題に入る前に、ザザっとSaaSの特徴をまとめました。

【特徴1】1つのプロダクトを、数多くの顧客が使う

  • 開発リソースを集中できるので、より良い製品をつくれる
  • アップデートを素早く反映できる
  • パッケージなどに比べて価格を安く提供できる
  • 一方で、個別のカスタマイズはやりづらい

【特徴2】売上がミルフィーユ的に積み上がっていく

  • サブスクリプション型なので、売上がどんどん積み上がっていく
  • 一度作られた売上レベルが下がることはなかなか無い
  • 毎月0から売上積み上げる必要がないので、営業スタイルや働き方にも余裕が生まれる

【特徴3】 先に損して、後で得するビジネスモデル

この記事でかわいい図をみつけたので載せておきます。

先に損して(顧客獲得にコストをかけて)、後で得する(長いLTVで回収する)を可視化した図です。

  • 最初に大きく顧客獲得コスト(CAC)をかけて顧客を獲得し
  • 解約率(Churn Rate)を下げて、長期的に利用してもらうことで
  • 損益分岐点(Break-Even Point )を越え
  • 契約から解約までの期間の収益(LTV)で時間をかけて回収するビジネスモデル

https://pipz.com/static/images/blog/How-to-calculate-and-reduce-customer-acquisition-costs_4.png

補足:

  • CAC = Customer Acquisition Cost = 1顧客を獲得するのに必要なコスト(広告費だけでなく、営業やマーケの人件費も含まれる)
  • Churn Rate = 解約率(この図にはないですが、よく使う単語なので書いておきます)
  • Break-Even Point = 損益分岐点(損益分岐点)
  • LTV = Life Time Value =顧客生涯価値(顧客が契約してから解約するまでにもたらしてくれる収益の合計)

売り切り営業と、SaaSの営業との違い

良い営業マン像が違う

まずは「売り切り型の商材」をあつかう営業と、「SaaS」の営業とで比較してみます。

▼ 売り切りの営業:

  • 製品力が低くとも、(売り方を工夫して)受注できるのが良い営業

▼ SaaSの営業:

  • 無理やり売ることをせず、製品にフィードバックし、製品力を高められるのが良い営業

もちろん売上を伸ばすことは重要ですが、変な売り方をすると、顧客満足度は低くなり、解約率(Churn Rate)が上がり、顧客生涯価値(LTV)が下がるので、結果、顧客獲得コスト(CAC)をかけられなくなり、営業活動が苦しくなるという悪循環に入ってしまいます。

であれば、目先の売上は下がったとしても、変な売り方をせず、顧客満足度が高くなることで Churn Rateを下げ、LTVを上げることで、CACを多くかけられるようになり、より多くの顧客にリーチでき、営業活動が楽になります。

また、目先の失注がいつまでも続いても良いわけはありません。売れない理由をなくすために、営業も製品にフィードバックを行い、より良い製品にしていくことがとても重要です。製品がより良くなり、売れない理由がなくなることで、より多くのお客さんを救うことができます。

「より多くの顧客にリーチできる × 売れない理由がなくなる」という好循環がはじまると、やっていて最高に楽しいです。

目の前の顧客の要望に答えることが正しくないこともある

SaaSは、基本的には1つのプロダクトを、数多くの顧客が利用します。

これにより「開発リソースを集中でき、より良い製品をつくれる」「アップデートを素早く反映できる」「パッケージなどに比べて価格を安く提供できる」などのメリットがあります。

一方、「個別のカスタマイズはしづらい」などのデメリットもあります。

なぜなら、目の前の顧客1社だけをみて製品開発をしてしまうと、その会社にしか便利でない製品になってしまい、その他の99.9%の会社にとっては不便な製品になってしまうからです。

営業やCSからのフィードバックを適切に仕分けするのはプロダクトチームの仕事だと思いますが、

  • 営業もプロダクトチームと同じ意識を持てること
  • どの課題がより重要なのかをプロダクトチームに適切に伝えていくスキル
  • 製品がアップデートされるまでの顧客の期待値コントロールするスキル
  • 製品に関わりたいという意思

などが重要になります。

大きな売上より、将来のLTV

売り切りの営業から、SaaSの営業に転身すると、最初は戸惑うことも多いと思います。

例えば、「月額 数千〜数万円の受注に、物足りなさを覚える」という人や、「月額がこんなに安い製品を売るのに、こんなにコストをかけてもいいのか?」と戸惑う人もいると思います。

しかし、先述のとおり、SaaSは「先に損して、後で得するビジネスモデル」です。

仮に、Churn Rate 2.0% の製品の場合、平均利用期間は50ヶ月となり、月額1万円でもLTV換算すると「1万円 × 50ヶ月 = 50万円分」、月額10万円だと500万円分、月額100万円だと5,000万円分の受注になります。※1

SaaSの世界には「LTV ÷ CAC ≧ 3」が成立していれば、CACはアクセル全開でOKという指標があり、上記の例だと月額10万円の顧客を獲得するのに166万円までコストをかけていい計算になります。※2

その為、営業やマーケ施策も、展示会で大規模なブースを出展できたり、テレビCMを打つなどの大胆の施策をうつことができます。

ちなみに SmartHR の Chrun Rate は 0.2% なので、LTV換算すると(理論上は)月額 1万円でも500万円分、月額10万円で5,000万円分、月額100万円で5億円分の受注になります。その為、より大きく攻めることができます。※3

※1 顧客規模にもよりますが、SaaSの世界では Churn Rate が2.0%を切っていれば良いとされています。
※2 厳密には原価も関係してきますが、わかりやすさ重視で原価を無視しています。ちなみにSaaSは原価も安く、SmartHRの場合は原価率 2割ほどです。
※3 Churn Rate 0.2%だと平均500ヶ月(約42年)継続利用する計算になってしまうので、実際のLTVはもっと辛めに設定しています。

SaaSの営業が向いている人 / 向いていない人

上記をまとめると、SaaSの営業が向いている人 / 向いていない人は下記のようになります。

向いていない人

  1. 製品に興味がない(売れないものを売るのが営業)
  2. 目の前のお客さんのことだけ考えたい
  3. 目先の達成がなにより大事

向いている人

  1. 製品にたずさわりたい(良いものを売りたい)
  2. 目の前のお客さんだけでなく、まだ見ぬお客さんのことも考えたい
  3. 長期的にビジネスを大きくしたい

SaaSビジネスが増えていくなか、後者にあてはまる営業の市場価値はどんどん高まっていくと思います。

なぜ SmartHR なのか?

先述の「向いている人」に当てはまる営業の皆さま、SmartHRに転職しませんか?

国内のSaaS企業でもSmartHRが特にオススメな理由を書いていきます。

1)プロダクトチームがちゃんと要望に応えてくれる

ここは私の言葉ではなく、インサイドセールスチームのリーダーのコメントを引用します。


エンジニア達が圧倒的に話しやすい、エンジニアが皆当たり前のように聞く耳をもってくれている。営業チームをお客さんの代弁者って思ってくれている感がある。VPoE(開発部長)の芹澤さんは、ほとんどの商談メモにコメントつけてくれている。


Slackに流れてくるユーザー登録をエンジニアがみんな見ている、どんなお客さんが登録したとか、ちゃんと見てコメントつけている。前職はわりと「技術にしか興味ない」というエンジニアが多かったが、SmatHRのエンジニアはちゃんとユーザーを見ているし、興味をもってくれている。


副島さん(プロダクトマネージャー)は、要望をちゃんと組み込んでくれるし、組み込まれない場合は理由をちゃんとフィードバックしてくれる。(期待値コントロールがうまい)

具体的には、バグの場合は「バグなのですぐやります」。バグじゃないものに関しては「やる予定がある」のか「予定がない」のか。あるなら「着手している」のか「していない」のか。「時期は決まっているのか」「いないのか」、決まっているなら「いつ」なのか、ちゃんとコミュニケーションしてくれる。

その為、JIRA(開発のタスク管理ツール)に起票する意義を感じるし、営業としてはプロダクトマネージャーと同じことを納得感をもってお客さんに言えるのでやりやすい。

2)ユーザーから求められている

SmartHRが便利にしている人事労務というジャンルは、信じられないくらいにアナログで面倒です。

ユーザーさんは本当に困っていて、それなのにソリューションが他にないので、未だに手書き、ハンコ、郵送、役所に行って窓口で並ぶという世界です。

その為、多くのお客さんが、商談ではヒーローがきたようなリアクションで迎えてくれます。営業マネージャーのコメントを引用します。

商談で褒められることがめちゃめちゃ多いです。「えっ!?そんなことできるの?」「これ紙じゃなくて良いんですか?」という抜群のリアクションと、目の輝きがとても印象に残ります。

また、SmartHRが取り組むジャンルの特性として「顧客の業種や規模が違っても、要望が比較的にブレにくい」です。最終的なアウトプットが行政手続に使用する書類なので、みなが抱える課題が、規模や業種によってブレるということが、他のジャンルに比べるとおこりづらいのです。

特定の会社だけでなく、多くのお客さんを救うことができるやり甲斐があります。

3)長期的に大きくなるビジネス

SmartHRは、Churn Rate が 0.2% (良いとされている2.0%未満の1/10!!)とめちゃくちゃ低いです。その為、営業やマーケだけでなく、会社全体として、大胆に攻めることができます。これにより、様々な攻めの施策を経験が出来ます。

また、セールスチームはようやく仕組みづくりが始まった段階で、セールスプロセスの仕組み化や、教育体制の構築、SalesforceとMAツールの連携など、仕組みづくりも経験できます。SaaSの営業として市場価値を爆上げできる成長機会があなたを待っています。

更にSmartHRのビジネスは、将来的にはプラットフォーム化や、 Fintech 領域への進出、労働人口の減少に対するソリューションの提供(今後40年で、日本に労働人口は半減するといわれています)なども検討しており、拡張性が非常に高いビジネスです。

SmartHR社でSaaSの営業を極めましょう!

ということで、SaaSの営業としてチャレンジされたい方、ぜひご応募お待ちしています! SaaS未経験でも大歓迎です!

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おまけ: 営業チームからもコメント集めてみました。


嬉しい時? 要望がプロダクトに実装された時は、要望を頂いた労務担当者さんに真っ先に連絡しています。 営業もプロダクト開発に関われるので、サービスに愛着がわきます。


今まで結婚の決断ができませんでしたが、SmartHRに入社してやっと結婚の決断ができました、仕事内容、同僚に恵まれて本当に感謝しています。


SmartHRを使ってユーザーの課題解決の手助けが出来るのはもちろんですが、新たな課題を見つけてそれをプロダクトに反映して、喜んでもらえた時は何よりも、嬉しい。


既存の売り切り営業にやりつくした感を感じている営業は多いと思います。自分の可能性も含め、新たに挑戦したい、そんな営業が好きな人にはSaaSのビジネスモデルは魅力的に映ると思います。

個人としても新たなやりがいと挑戦ができ、かつ社会的にも貢献度高く、時代を作るビジネスに携われる、そんなサービスをフロントでお客様に届けれるのは営業好きにはたまらない喜び・やりがいだと感じます。

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