宮田昇始のブログ

Nstock と SmartHR の創業者です

米国ユニコーン企業並の成長を実現するマーケチームの天国と地獄

まずは米国SaaSユニコーン企業のARR 1億から10億までの成長スピードのグラフをご覧ください。

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引用元: State of the Cloud Report 2018 - Bessemer Venture Partners

我々自身も驚いているのですが、SmartHRもこのグラフのユニコーン企業達に並ぶ急成長をみせています。(いまのところ!)

さて、この急成長は「市場選択のラッキーさ」「プロダクトの開発力」に加えて、「マーケティングチームがプロダクトを世に拡めてきたこと」で実現できています。

もちろん、営業、カスタマーサクセス、カスタマーサポートの貢献も非常に大きいですが、ユーザーにSmartHRの存在を知ってもらわないことには何も始まりません。ユーザーとの最初の接点は、彼らマーケチームによってつくられてきました。

今回は彼らにスポットライトをあてて、これまでの変遷や、天国と地獄についてブログを書こうと思います。

目次

  1. メンバー構成
  2. チームの変遷
  3. 地獄(失敗事例)
  4. 天国(成功事例)
  5. 宣伝(マーケマネージャー募集中)
  6. 次回予告


1. マーケチームのメンバー構成

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マーケチームの会議風景(カスタマーサクセス1名、SDR1名もまじってます

現在のチーム構成は下記のようになっています。

  • マネージャー(COOが兼務)
  • オンライン広告担当(オンライン広告の出稿・運用、MAツール運用など)
  • オフライン広告担当(テレビCM、交通広告、ダイレクトマーケティングなど)
  • イベント担当(展示会への出展、イベント企画・運営、販促物企画など)
  • オウンドメディア担当(オウンドメディアの企画・編集・運営など)
  • 広報担当(メディアリレーション、取材の対応、記事校正など)

計6名。ご覧のとおり、ジャンルごとに専属の担当者がいます。

以前「SmartHR が組織運営で一番大切にしていること」にも書いたとおり、SmartHR社は基本的にメンバーにまかせるスタイルです。

マーケチームは特にそれが色濃くでていて、各ジャンルの担当者が1名しかいないため、そのジャンル責任者として、自ら意思決定し、自律駆動で新しい施策を次々に試みています。

テレビCMですらも、メンバー主導でやることが決まりました。

なぜそういうことができるかというと、SaaS業界はメトリクスが標準化されていることもあり、SmartHR社では『 LTV ÷ CAC > 3 』の公式が成り立つ限り、広告出稿や1千万円規模の展示会出展も、各自の判断にほぼまかせています。形式的な稟議もありません。

また、一般的な企業でのマーケは、PLで赤字にならないようにマーケ予算を組んで、自社の規模に応じたマーケ予算でやりくりしていくのが常識だと思います。

しかし、SaaS企業の場合は、PLが赤字でも、前述の公式が成立する限り、いくらでもアクセルを踏めるので、他業界より大胆なマーケ施策が打てる。だから今の規模でもテレビCMまでやれています。

また、先程の公式が成り立たなくても、口頭やテキストでの説明で十分妥当性があればGOサインを出すことが95%以上です。(toBの場合は全てが数値化できるわけではない為。例えばアポ率や、稟議の通過率への影響など。)

ちょっと脱線しましたね・・・。


2. マーケチームの変遷

SmartHRがローンチ〜今日までの、マーケチームの変遷を、各メンバーの入社時期を交えて時系列で紹介します。

2015年11月

  • SmartHR一般公開
  • 社長がマーケやっていた時期
  • Facebook広告や、ピッチイベント登壇によるPR効果狙いが中心

2016年 4月 (サービス公開から5ヶ月)

  • 1人目のマーケメンバー入社(現オフライン広告担当)
  • 当時はまだオンライン広告の運用型広告がメイン(Facebook、Google、動画広告など)
  • オフライン広告も少しずつ試し始める
  • オウンドメディアの開設もこのころ。外部ライター(社労士さんや、弁護士さん)の記事が中心
  • ユーザー企業数 1,000社を突破

2016年10月 (サービス公開から11ヶ月)

  • 2人目のマーケメンバー入社(広報担当)
  • これまで対応できなかった取材にも対応できるようになる
  • こちら側から、積極的にメディアの方々に情報提供をスタート
  • ユーザー企業数 2,000社を突破

2017年 2月(サービス公開から1年3ヶ月)

  • 3人目のマーケメンバー入社(オンライン広告担当)
  • MAツールの導入や、CRMとの連携をスタート
  • 現オフライン広告担当が、徐々にオンラインを離れ、オフライン広告に注力しはじめる
  • ユーザー企業数 3,500社を突破

2017年6月(サービス公開から1年7ヶ月)

  • 4人目のマーケメンバー入社(オウンドメディア担当)
  • オウンドメディアを本格的に伸ばしはじめる
  • スマートニュースさんなどの提携メディア開拓や、編集部オリジナル記事の作成もスタート
  • 同月にマーケマネージャー(現COO)も入社し、社長はノータッチに
  • ユーザー企業数 5,000社を突破

2017年8月(サービス公開から1年9ヶ月)

  • 5人目のマーケメンバー入社(イベント担当)
  • 展示会への出展や、イベントの企画も本格化
  • 同月にテレビCMも放映開始
  • ユーザー企業数 6,000社を突破

2018年1月(サービス公開から2年2ヶ月)

  • 15億円の資金調達
  • マーケマネージャーがCOOになり、専属のマネージャー不在に
  • ユーザー企業数 9,500社を突破

2018年4〜5月(👈イマココ)

  • テレビCM 第2弾 放映
  • 追加で数億の資金調達
  • ユーザー企業数 12,000社を突破


3. マーケティングチームの地獄(大失敗)

SmartHR社のマーケチームは、失敗を恐れず挑戦していく「ワイルドサイドを歩け!」の精神で溢れており、失敗もみんなで楽しみながら乗り越えていく文化があります。

なぜなら、「クラウド人事労務」(社会保険・年末調整・雇用契約 etc)の分野は、前身となるサービスがほとんどありません。その為、色々なマーケ手法を自分たちで試行錯誤しながら金脈を探し当てるしかない、攻めるしかないジャンルだからです。

例えば、近いジャンルで「クラウド会計」は、その前身となるインストール型の会計ソフトが40年ほど前から存在しており、様々なマーケ手法も試しつくされています。

一方、SmartHRのジャンルは、前身となるサービスがなく、いまだに多くの企業が手書き、ハンコ、郵送、役所に出向くなどで対応しています。

競合サービスもSmartHRの後追いでいくつか出てきてはいますが、まだまだ未開拓の市場です。SmartHRのマーケチームは、先駆者としてこのジャンルを攻めまくります。

マーケチームのマネージャーは「失敗なくして進化なし! 傷ついていこうぜ!」という、なかなかの名言を残しています。

ということで、マーケチームに聞いた大失敗をいくつか紹介します。

1.超有名オンライン広告枠で大失敗

  • はじめてテレビCMにあわせて憧れの超有名オンライン広告枠に数百万円を投じる
  • 大失敗(想定CPAの70倍)
  • 従業員や、その家族が喜ぶという効果は◎
  • 当時は背伸びしすぎたので、また再チャレンジしたい

2.FAX DMで大失敗

  • 「ペーパーワークを減らす会社が、紙を増やすのはどうなのか?」という議論も
  • しかし「ワイルドサイドを歩け!」の精神でなんでも試してみよう!となり挑戦
  • 大失敗(CV 0件)
  • 獲得できたのは配信停止のご連絡だけでした・・・

3. FAX DMで大失敗(2回目)

  • 8ヶ月後、テレビCMにあわせれば効果出るはず!と、送信数を2倍にして2度目の挑戦!
  • 大失敗(CV 0件)
  • 獲得できたのは今回も配信停止のご連絡だけでした・・・

4.業種特化展示会で大失敗

  • 飲食業界に特化した展示会に多数出展!
  • ターゲットである経営者や人事の方々は皆無
  • バイヤーの方々が大多数で、大失敗

5.チュートリアル改善で大失敗(with カスタマーサクセスチーム)

  • 前提: SmartHRでは「ダミーの従業員データ」をデフォルトでユーザーのアカウントに登録し、チュートリアルしやすくしていました
  • しかし、ダミーデータが残ったままだと、いろいろとUX上の問題があったので、ダミーデータを削除
  • ユーザー自身にデータ登録してもらうフローに変更し、UXを向上させ課金率UPを狙う
  • 大失敗(課金率どころかチュートリアル完了率が半分に…)

6. (柄にもなく)目先の数字を優先して大失敗

  • 新機能のプレスリリースまでに導入企業数****社いくぞ!!!
  • 人事系媒体の全てでメール広告ブン回しだ!!!
  • 大失敗(CPA数十万円。登録数件。)

7.マーケマネージャーがCOOになり、専属のマネージャー不在に

  • 現在進行系
  • 先程の「失敗なくして進化なし! 傷ついていこうぜ!」の人です


4. マーケティングチームの天国

1. メンバー主導でテレビCMを実施

2. wevox で上位1%のすごいチームに!

  • wevox = チームのエンゲージメント測定サービス
  • wevox 利用企業中、上位1%に入るすごいチームに
  • マーケマネージャーが専任のころはよかった...

3. オウンドメディアのUUが月次平均+23%で成長中、この1年で12倍強に!

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・・・お金はいらないので、SmartHRでマーケチームのマネージャーとして働きませんか??

15億円 + 数億円 使い切ってください!!!


5. 宣伝(マーケマネージャー募集中!)

ということで、SmartHR社では、マーケティングチームのマネージャーを募集しています。

こんな人が向いてます

  • 新しいことに挑戦するのが好きな方
  • 人を活躍させるのに喜びを感じられる方(マネジメント経験があれば最高です)
  • 広めのマーケティング知識・経験をお持ちの方
  • 数字に強い方

「1」や「3」でも書きましたが、SmartHRのマーケティングチームは、他社にはない、ガンガン攻めることができる環境です。

『 LTV ÷ CAC > 3 』の公式が成り立つ限り、いくらでもアクセルを踏めることができ、身の丈以上の大胆なマーケ施策が打てます。

また、判断基準が明確かつ、オープン&まかせる社風なので、マーケ予算確保の社内営業で苦労する必要もありません。

繰り返しになりますが、未開のジャンルなので、とにかくなんでも試して、失敗を増やしていくことが重要です。失敗なくして進化なし!

良いことばかり書いてますが、強いて大変そうな点をあげるとすると、マーケチームはメンバーが個性派揃いなので慣れるまでは大変な時もあるかもしれません。でもみんな良い人なので大丈夫です。

一緒にSmartHRを、日本の社会インフラへと爆速で育てていきましょう!

ご応募お待ちしています!

smarthr.co.jp

6. 次回予告

「COOになった元マーケマネージャーにCEOの座を奪われそうです! 助けてください!」