宮田昇始のブログ

Nstock と SmartHR の創業者です

【代打ブログ】SmartHRのカスタマーサクセスが2018年にやったことまとめ

お疲れ様です。こちら「人事・労務を、ラクラクに」でおなじみの「SmartHR」を取りまとめております宮田のブログでございますが、本人が渋谷のオフィスに籠もってしまい執筆ペースが芳しくないため、社員タカハシが代打で「カスタマーサクセス」及び「SmartHR でのカスタマーサクセス振り返り 2018」について書かせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。*1

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カスタマーサクセスってなに?

SmartHR のようなサブスクリプションモデルのサービスが増えるにつれ「カスタマーサクセスが大事!」という声を SaaS 界隈を中心によく聞くようになりましたが、まだまだ認知度が低い職種だと思います。

サブスクリプションモデルは、平たく言うと「先に損して、後で得を取れ」というビジネスモデルです。テレビCM をはじめとしたマーケティングにお金をかけて認知をひろげ、ユーザーには長い期間サービスをご利用いただき、コストを回収していく。そのため、長く使い続けてもらうことが大切です。

サービスに満足をしていただければ継続利用の確率も上がります。また、満足していただいている場合はさらなる利用拡大を検討してもらえる確率も上がります。

その満足を「顧客の成功」とし、その成功を支えるのがカスタマーサクセスです。SaaSの世界では「花形の職種」としてあつかわれることも多いです。

もっと色々な説明があるのですが長くなってしまいますので、少しでも興味を持っていただいた方は、カスタマーサクセスがビジネスに与える影響を詳しく書かれている馬田隆明氏のスライドを是非みてください。

SmartHR のカスタマーサクセス 2018

SmartHR の 2018 年の取り組みを4つのトピックでわけてご紹介したいと思います。

ちなみにSmartHRは2015年11月にサービスを開始しました。つまり、サービス公開から2〜3年目の時期にやった施策だと思って読んでいただければ幸いです。

1. チームの分業化

SmartHR を導入してから次の契約更新までには、大きく3つのステージがあります。

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各フェーズでやならければいけないとことが異なっており、ひとりの担当がすべてを担うとなると、企業数に応じて人を増員する必要があり、結果的に労働集約型になってしまいます。

SmartHR のカスタマーサクセスチームも、年初はわずか3名だったため、労働集約型に近い状態でした。そこから1年で12名(内定者含む)まで一気に人数が増えました。そのため、分業化に着手しました。

現在 SmartHR では、下の図のように5つのグループわかれて、カスタマーサクセスを実現しています。

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名称 業務内容
オンボーディングチーム サービスの早期立ち上げをサポート
エンタープライズ CSM チーム 従業員規模が数千名の顧客を担当
SMB CSM チーム 従業員規模が数十〜数百名の顧客を担当
テックタッチチーム 顧客自身がサービスの活用度合いを深められるコンテンツの企画を担当
オペレーションチーム ユーザーの活用データを元に適切なサポートタイミングの企画・設計を担当

ちなみにカスタマーサクセスには多くの職務が存在しており、今後さらなる分業・専門化が進む可能性が高いです。

参考

Customer Success Manager
Customer Operations
Customer Onboarding
Customer Training
Technical Account Management
Integration Specialists
Project Management
Product Marketing
Account Manager
Renewal Manager
Content Creation
Data Analyst
Support
Community Manager
Event Manager
Security Engineer

参照元: Suspended – Medium (今見たら元記事が非公開になってました)

2. オンボーディングを改善

SmartHR を含む SaaS 事業では継続してもらうことが如何に重要か?は前項や過去の宮田の記事でも述べているとおりなのですが、その継続をしてもらううえで重要になるのがオンボーディングです。

オンボーディングとは、ユーザーにいち早くサービスに慣れてもらい、スムーズに運用を開始してもらうための導入サポートのプロセスのことです。「導入してよかった!」と早期に成功を実感していただくことで、追加の利用拡大やオプション機能の検討に繋げていくことができます。

SmartHRも、2018年1月時点では、属人的に導入サポートを対応していました。しかし、「スケールしない」「導入サポート完了後のケアに手が回らない」「導入時の課題解決まで対応できていない」という問題があり改善を着手しました。

着手の結果、上で挙げた問題を解決しただけでなく、「ユーザー自身で立ち上がってもらう」ということが出来る様になりました。

こちらのスライドでも経緯を詳しく紹介しております。

3. 初めてのアップセル

2018年7月に SmartHR 初の有料追加オプション機能(アップセル商材)である「雇用契約機能」をリリースしました。実はこの機能、営業とカスタマーサクセスの企画で立ち上がりました。

ユーザーに向き合い、そこで見つけた課題を解決するプロダクトを企画し、開発チームと協力しながらリリースまでもっていく。カスタマーサクセスという仕事の醍醐味ですね。

さて、リリース当初は、ユーザーニーズもある程度理解していたことから、勝手に売れるモノだと思っていましたが、リリースから3ヶ月ほど経った時点で、期待する申込み数に届いていませんでした。 調査を進めると、以下のような課題があることがわかりました。

  • 人事労務分野特有の理由
    • 年末調整の準備は平均的に9月から始まることが多く、8〜10月は担当者さんが新しい提案に対して時間が割けないため、既存顧客へのアップセルがなかなか進まなかった
  • 顧客担当者(カスタマーサクセスマネージャ)の特性
    • ほとんどの顧客担当者(カスタマーサクセスマネージャ)が営業経験を有していないためクロージングに苦戦してしまった
    • 積極的なアプローチを期待したが、顧客との関係値を崩したくない想いと相反してしまい、おもうように進まなかった
  • セールスチームへの素材不足
    • 資料不足やデモ環境の整備不足等で、商談時に雇用契約機能の機能説明まで盛り込めなかった。

上記の課題をセールスチームと協力し

  • 既存顧客への提案とクロージングの担当をわける
  • カスタマーサクセスは興味・関心を喚起する事に特化
  • 短時間でも魅力が伝わる様な資料やトークスクリプトの作成

といった様な改善をした結果、11月には単月ではありますが目標を超える申込みをいただきました。

4. Churn(解約) に向き合う

SmartHR は、継続率 99.6% と公表しているとおり、多くのお客さまに継続して利用していただいております。

これまではプロダクトの力もあり、高い継続率を維持してきたため、 Churn Rate(解約率)の改善は優先度が高くありませんでしたが、各チームも立ち上がり、個々人の業務負荷も整理ができ始めたため、Churn Rate の改善に着手し始めました。

詳しい数字は割愛しますが、Churn するユーザーには利用状況のデータからいくつかの傾向があることがわかっています。

退会しづらくするとかそういうことではなく、ユーザーの満足度をあげて Churn Rate を改善する施策を1つ1つ積み上げていきます。

また、オンボーディングの改善はもちろんですが、そのさらに前、契約時に期待値のズレがあることもわかってきました。契約前に SmartHR で解決できることと、それを解決するために必要な情報を発信していくよう、改善していく予定です。

2019 年に取り組むこと

2019年は「基本機能の大幅アップデート」や、いくつかの「オプション機能のリリース」が控えており、ユーザーの課題をさらに解決できそうでわくわくしています。

下記は既に取り組みとして検討している内容です。

  • オンボーディングのさらなるアップデート(セルフオンボーディング施策)
  • 日々アップデートされる機能の利用促進
  • オプション機能の商談化
  • ユーザーコミュニティの立ち上げ

この1 年でカスタマーサクセスグループのメンバーも 3名から12名(内定者含む)になり、直近での採用はクローズしました。

ですが、採用は水モノです! 上記取り組みが予想以上に上手くいけば、採用をすぐに再開する可能性があります。

この Blog を読んで「SmartHR でカスタマーサクセスをやりたい!」と思った方向けに、「採用再開お知らせフォーム」をご用意しました。

採用再開お知らせフォーム goo.gl

まだ転職を考えていなくても大丈夫です。採用募集再開の時に検討していただければ幸いです。

次回予告

「社長が戻ってきた!しかしCEOの席はCFOに奪われていた!」お楽しみに!

*1:この前書きは、現在は閉鎖されている「ライブドアキャプテンブログ」の社員スエヒロさんの代打ブログへのオマージュです