イチロー2007年。結果を求められ、プレッシャーがかかり、弱気になり、不眠にもなる。誰でも同じ。
— Yamotty👨👩👦👦 (@yamotty3) 2019年1月26日
最後に「プレッシャーは技術で克服する」って言ってて、本質度がすごかった pic.twitter.com/JXfDg9F6L9
私はこの番組を見たわけではないのですが、「プレッシャーは技術で克服する」というフレーズにグッと来て引用させてもらいました。
最近やたらと「起業家のメンタル問題」に関する記事を目にする機会が多いので、今回は「起業家が自身のメンタル問題にいかに向き合うのか?」を、自分なりの経験をもとに書こうと思います。
起業家のメンタル問題とは?
- 起業家の37%が、気分障害・不安障害の基準を満たしている(一般人の7倍)
- 起業家の49%が、生涯に一度はメンタルの問題を抱える
- ADHD(注意欠陥・多動性障害)の生涯罹患率は起業家で29%、一方の対照群で5%。
- 躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害は起業家で11%、対照群で1%。
- 薬物やアルコールなどへの依存は、起業家で12%、対照群で4%。
- いずれの精神疾患においても、起業家の罹患率は著しく高い。
via 「起業家うつ」増加の実態、メンタルヘルスを損なう6つの事情 (ダイヤモンド・オンライン)
たびたびメディアで話題になっていますが、起業家がメンタルを病む確率、または病みそうになる確率は、一般の方よりもかなり高いようです。
理由はたくさんありそうです。日々のプレッシャー、理想と現実のギャップ、次々やってくる Hard Things、人の問題などなど。
鶏と卵の話のように「起業家になったから病んだ」ではなく「どこかしら変だから起業家になった」かもしれませんが、いずれにせよヤバイ数字ですよね。
根性論ではなく、技術で克服しよう
冒頭で紹介したように、イチロー選手でも不安で弱気になったり、眠れない日があるそうです。我々のような凡人がメンタルに問題を抱える可能性は高いでしょう。
であれば、問題に備える必要があり、問題を抱えてしまったら克服する必要があります。それが社員や株主などのステークホルダーに対する責任の一つにも感じます。
「情熱」や「ビジョン」といったもので打破できる人もいるかもしれませんが、根性論だけではいずれ心が折れる日が来るでしょう。(個人の見解です)
心の問題に対して「備える技術」「克服する技術」を起業家自身が身につけることは、会社を持続させるためにも重要だと思っています。
私の経験談
何を隠そう、ざっくり2回ほどメンタルが落ち込んだ時期がありました!
ちなみに今ははとても元気なので、安心して読んでください。
【1】2015年1〜2月ごろ
SmartHRを思いつく前の、ピボットを繰り返していた時期です。この時は予防もクソもなかったですし、当時の克服方法は根性論に近いので割愛。別途ブログに書こうと思います。
【2】2018年12月〜2019年お正月にかけて
12月初旬からの約1ヶ月間、メンタルに問題を抱えていました。けっこう最近の話ですね。
自分でも心の不調に気づき始め、何人かのメンバーからは指摘(心配)もされました。最も悪化した12月30日〜1月1日の3日間はほぼベッドから起き上がれない状態になってしまいました。
しかし、1月3日ごろから復調の兆しが見つかり、翌週にはほぼ元気に。いまでは「大丈夫になりました?」「なんでしたっけ?・・・あ〜アレか笑」と忘れていたほどです。回復は早い。
振り返ると、今回は「技術」で克服した感じがします。
私なりの心の問題に向き合う技術
私なりのメンタル問題に向き合う技術を紹介します。少しでも、悩める起業家のヒントになれば幸いです。
なお、ここで紹介するのはあくまで私個人の経験、やり方です。
性格や、理想の心のあり方は、人によって千差万別だと思いますので、あくまで参考として読んでいただければ幸いです。
1. 「大丈夫じゃないかも」と周囲に打ち明ける
大丈夫じゃないときに、大丈夫なふりをするってかなりしんどいんですよね。それを続けてると悪循環で更にしんどくなる。
私の場合は、家族や、COO、CFO、人事マネージャーをはじめとした数名に打ち明けることができていたので、いくぶん楽でした。
なお、人によっては心の不調を認めることで、より悪化し、悪いスパイラルに陥ってしまうこともあるかもしれません。
私の場合は「臭いものに蓋をしたまま放置する」のが苦手なので、「問題があることを認め、問題に向き合いながら改善していくプロセス」のほうが性に合っていると思います。もし今後また問題を抱えた場合も、このプロセスを選ぶでしょう。
2. 仮説検証を繰り返す
そしてメンタルが不調な原因を探ります。
仮説をたてて、改善するアクションを打ちます。例えば下記のような感じです。
【仮説1】疲れがたまっているのではないか?
→ 週末引きこもってずっとダラダラする
【仮説2】新規事業がプレッシャーになっているのではないか?
→ 新規事業の心配事をテキストで書き出す
【仮説3】あたまのリセットが必要?
→ すべてを忘れてお正月休みに漫画をひたすら読んでみる(気づいたら130冊読んでました)
【仮説4】本音を話せる友達が少ないから病んでる?
→ 大学の友達と久々に飲みに行ってみる
【仮説5】心の病のメカニズムを知れば解消するのではないか?
→ 心に関する本を読んでみる
これらは、今回実際にやったことの一部です。
多分、本当にマズい状態まで進行してしまうと、仮説をたてたりアクションを起こすこともできなくなると思うので、不調を感じたら早めに対策することが大事だと思います。
3. 大丈夫だと宣言する
復調の兆しが見つかったら、「大丈夫」と宣言することも大事だと思います。
「1」で書いた内容と矛盾するようですが、私はプラシーボ野郎なので、周囲の人に「大丈夫!」と宣言することで、良いスパイラルに入っていくのを感じます。
4. その他
筋トレ、ランニング、入浴(毎朝1時間風呂に入ってます)など。 この1週間に1本書いているブログも自分への自信になっている気がします。
今回はなにがよかったのか?
ちなみに今回復調したキッカケはこの本でした。
もともと家入さんがTwitterかなにかでオススメしていたのを見て読んでみました。
臨床心理士である著者が、沖縄の怪しいスピリチュアルな「野の医者」たちの、怪しい治療を受けまくり、その過程で「心の治療とは何か」を紐解いていくノンフィクション作品です。コミカルな小説のようで、笑いながら読めます。
その中でも響いたのは、下記のような内容でした。
- 文化によって「心が健康な状態」の定義は異なる
- 臨床心理学では「現実を見つめ、ちゃんと落ち込めることが健康」という見方をする
- 野の医者たちは「軽い躁状態が健康」という見方をしていると思われる
- なにが「現実」かの定義も文化によって違ってくるからややこしい
読んでて思ったんですが、私はそもそもが「軽い躁状態」なんだと思います。(診断されたわけではないので思い込みの可能性も大)
しかし、「なんか調子悪いな〜」というときでも「カラ元気はダメ」「躁状態になってはダメ」みたいな思い込みがあり、無意識にブレーキをかけていたと感じます。
「むしろ、自分にとっては軽い躁状態が健康かもしれない」という仮説をたててからは、驚くほど心が楽になるのを感じました。
ブレーキをかけず、突拍子もないチャレンジをどんどんやっていくのが、自分の心の健康に良いようです。
起業家は(たぶん)みんな軽い躁状態
ちょっと脱線しますが、私だけでなく、たぶん起業家はかなりそういうタイプが多いと感じます。むしろ私は起業家のなかでは普通の人に近い。
多くの起業家は、喋っていて「こいつら頭おかしいな」と思うことが多々あり、たぶんみんな軽い躁状態なんだと思います。(みなさん尊敬しています🙏)
そもそもリスクマネーを活用して、ハイリスクハイリターンで、爆発的な成長を目指すスタートアップは、「現実」を見てしまうとなかなか最初の一歩踏み出せないものだと思います。
冒頭でも書いた通り、「起業家になったから病んだ」ということはもちろんあると思うのですが、「軽い躁状態だったから起業してしまった」という側面はありそうだなと思います。
※ 完全に個人の感想です
折れない技術を身に着けよう
本題にもどります。
- イチロー選手でもメンタルに問題を抱えることはある
- 起業家は心の問題に備える必要があり、問題を抱えてしまったら克服する必要がある
- 根性論ではなく「技術」で克服しよう
- 私なりの「備える技術」「克服する技術」を紹介
- 早めにまわりに打ち明ける
- まだ元気があるうちに仮説検証を繰り返して原因を探る
- 大丈夫と宣言する
大前提として、社長の心の問題ごときでサービスがゆるがない体制、組織をつくる必要があります。少なくとも自社はそれができている自負があります。
それに加えて、起業家自身が、心の問題に対して「備える技術」「克服する技術」を身につけることは、会社を持続させ、継続的に成長させるためにも重要だと思っています。
健康な心と体で、スタートアップしていきましょう。
体のほうは最近ちょっとリバウンドしたんで社員7名とダイエット勝負はじめました。目指せ6月末までに-10kg。
今日はこの辺で。