宮田昇始のブログ

Nstock と SmartHR の創業者です

権限移譲する技術

f:id:miyasho88:20191203133021p:plain SmartHRの社長の宮田です。

この記事は SmartHR Advent Calendar 2019 3日目の記事です。

ソフトウェア開発にも役立つであろう「権限移譲」について書こうと思います。

胸を張って「これが得意です」と言えるものってそんなに無いのですが、CTOの芹澤さんから権限移譲だけはホメてもらえます。最近では「もしかしたら得意なのかも?」と思えるようになりました。そんな私が気をつけているポイントをまとめています。

権限移譲について学んだことはなく、独学です。そのため、すごーく当たり前のことしか書いてないかもしれませんし、逆に一般論からかけ離れている可能性があります。

あくまで、私が気をつけているポイントとして読んでいただければ。

いかに権限移譲してきたか?

はじめに、私の権限移譲について紹介します。

半年でプロダクトにノータッチに

起業する前、私はWebディレクターとして仕事をしていました。その為、得意分野はプロダクトづくりだと思っていました。

起業の理由も「自分たちの代表作になるようなプロダクトをつくりたいよね」だったので、一番こだわりが強かったのはプロダクトです。

しかし、SmartHR公開から半年後には、プロダクト開発に関わるほぼ全てを権限移譲し、仕様策定や、開発の優先順位付けも任せ、開発会議にも出なくなりました。

1年半で事業もノータッチに

プロダクトに関わるほぼ全てを手放した後、ビジネス側のトップをやっていましたが、COOの入社をきっかけに、ほとんどすべてを手放しました。

予算策定から、KPI管理、人の配置、各チームのマネジメントなど、完全に任せています。COOの倉橋さんは「任せてくれそうなので入社したし、思ってた以上に任せてくれている」と言ってくれています。

その結果、4年前は3名だった会社が、今では170名規模に。

私は採用でのアトラクト(魅力づけ)や、広報での取材対応など、創業者がやるほうがメリットが大きい仕事にフォーカスしています。

権限移譲のTips

前置きが長くなりましたが、私が権限移譲をする際に気をつけていることです。

1. 自分より専門家を採用する

元も子もないかもしれませんが、権限移譲する相手は重要です。安心して任せられる人を採用することで、大胆に権限移譲することができます。

しかし、自分よりも全てにおいて秀でているスーパーマンを採用することは簡単ではありません。スーパーマンを採用できる日を待っていては、いつまでたっても権限移譲できません。

私は、なんでも任せられるスーパーマンではなく、自分よりも「専門性が高い人」を採用するという考え方をしています。

採用とは「自分1人では実現できないことを、実現するための手段」です。いまやっている仕事の一部を切り出し、その分野において自分よりも専門性が高い人を採用し、任せる。

採用も早くなり、安心して仕事も任せることができます。これを繰り返すことで権限移譲が進み、組織がスケールしていきます。

2. ToDoではなくイシューを渡す

優秀な人は、ToDoを渡されることを嫌がります。(偏見)

また、ToDoはある程度Howが決まっている「解」のようなものなので、自由度が低く、せっかく採用した専門家が、本来の能力を発揮する機会を奪っているかもしれません。

ToDoではなく、イシューを渡すことで、よりやる気を出してくれますし、より質が高い「解」を導きだしてくれます。

3. 決定権を渡していることを繰り返し伝える

権限移譲をはじめてすぐは、「この進め方でいいですか?」「この案に決めていいですか?」と多くの確認を求められることがあります。

そんなときは「あなたが決めていいんだよ」ということを繰り返し伝えてます。

「確認せず進めてOKですよ」
「判断まで任せます」
「○○さんの意思決定を尊重します」

自分より専門性が高い人が、自分よりも時間をかけて考えているわけなので、彼らの解の方が正しい可能性が高い。

彼らの判断を信じて、背中を押す発言を繰り返します。

4. 仕事の過程をチェックしない

私も人間なので、仕事の過程を見てしまうと、ついつい口出ししたくなってしまいます。

でも、失敗しても、大したことないことがほとんどです。

勇気を持って目をつむり、求められたときだけ見るようにしましょう。

5. 役割を周囲に周知してあげる

権限移譲されたばかりの人は、動きづらさを感じるものです。また、周りもどんな仕事を頼んでいいのかわかりません。

入社のタイミングや、役割が変わったタイミングで、彼らの役割について周知してあげましょう。動きやすくなりますし、周りも仕事を頼みやすくなります。

特に、新しい役割や、わかりづらい役割の場合は、数回にわけて、具体例を交えて周知してあげることが必要です。

6. 障害になりそうなことを取り除いてあげる

特に新入社員に権限移譲する場合、成果を出すまでに時間がかかってしまうことがあります。

その際は 1on1 などを通じて、

「困ってることはありますか?」
「その中で自分で解決するのが難しそうなことはありますか?」

など、障害になりそうなことを聞き出して取り除いてあげることも重要です。

もちろん、過保護になりすぎては本末転倒ですが、障害を排除し、早期に成果を出してもらうことで、権限移譲は進みやすくなります。

7. 成果が出たらホメる

Slackや全社会など、なるべく多くの人が見ている場所でホメてあげます。

本人の自信にもつながりなりますし、周囲からも成果が認知されることで、より仕事がやりやすくなります。

権限移譲の失敗談

ずっと権限移譲に成功してきた訳ではなく、失敗したこともあります。

SmartHR公開から1年がたったころ、当時3名の営業チームに関与しすぎて上手くいかなかった時期があります。

週1ペースで参加していた営業会議が形骸化し、活発な議論もなければ、「もしかして営業会議対策されている?」と感じるようなこともありました。売上もいまいち伸びなかった。

何かを変えなくてはと思い、営業会議に出席することをやめました。すると、目に見えて議論が活発になり、売上も急成長し始めました。

実は、私は営業が下手ですし、苦手です。そんな私が権限を持っていても上手くいくわけはないですよね。

このエピソードは、私が「ああ、専門性が高い人達に任せるのが1番だな」と強く思った原体験でもあります。

まとめ

急成長スタートアップに権限移譲は必要不可欠です。

事業が成長すればするほど、新しい仕事が雪だるま式に増えていきます。いつまでも同じことをやっていたら事業もチームもスケールさせることが難しくなります。

最初は勇気が必要です。失敗もするかもしれません。しかし、権限移譲ができないチームには大成功はやってきません。

権限移譲やっていきましょう💪

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急成長中で、日々、新しい仕事が雪だるま式に増えています。

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