
時間ができたらブログに書こうと思っていたら、プレスリリースから半年も経ってしまいました。最近は時間がすぎるのが本当に早い。もっと時間を大切に生きないと、と思います。
神山まるごと高専さんに10億円寄付します
神山まるごと高専さんに、個人として10億円の寄付を決定し、うち3億円の寄付を実行しました。
「宮田昇始スタートアップ基金」という名前で資金運用され、教育体制の拡充や、起業を志す学生さんの奨学金として半永久的に活用される予定です。
今回の寄付についての詳細はプレスリリースをご覧ください。
なお、10億円のうち残りもう7億円は今後しばらくかけて寄付していかないといけないので、申し訳ないのですが、当面は他の寄付のご提案いただいてもお力になれなそうなので、あらかじめご了承ください🙇🏻
SmartHR、Nstock創業者の宮田昇始氏が10億円の寄付を決定。「宮田昇始スタートアップ基金」を設立 | 神山まるごと高専 https://kamiyama.ac.jp/news/20250121-01/ kamiyama.ac.jp
なんで寄付したの?
神山高専の理事長で、Sansan創業者である、尊敬する寺田さんに寄付のお願いをされたことがきっかけです。
2021年、寺田さんから「今日はすごい提案を持って来ました」と言われ、「1億円くらいの寄付お願いされそうだな…」と想像していたのですが、それがまさかの10億円で思わず笑ってしまったのを覚えています。
そのタイミングでは10億円なんていうキャッシュは当然持っていなくて、「いつかIPOやセカンダリーでSmartHR株を売却する機会にぜひ」という形で返答しました。
ただ、当時はメルカリ山田進太郎さんの勧めで「Die with Zero」という本を読んだばかりでした。その影響で「若いうちに寄付するぞ」と強く思っていたこともあり、「 "やっぱ寄付やめる" とか言い出さないように、覚書を結びましょう」と、自分から提案したのを覚えています。
また、神山高専さんには個人的にも縁を感じることが多く、家族に同じ四国の高専出身の人がいたり、私自身も中高6年間を寮ですごしていたり、起業家育成のコンセプトなどなど、これは自分にしかできない寄付だなと思えたことも理由です。
SmartHR株をセカンダリー売却したお金が元手
ちなみに、今回の寄付は私が保有する SmartHR 株式の一部を売却したお金が元手です。
この記事のなかでも語られていますが、SmartHR社は2024年に新株発行による資金調達を実施。100億円規模の新株発行にあわせて、100億円規模のセカンダリー取引を実施。合計214億円ものSmartHR株を投資家が購入しました。この機会にあわせて、私も保有する SmartHR 株式の一部をセカンダリーで売却しました。
開校前の2021年に寄付できればもっと良かったのですが、前述の通り、当時は寄付できるほどの資金がありませんでした。そしてSmartHR社はまだIPOをしていない未上場企業です。今回のセカンダリー取引のおかげで、未上場でも株の売却機会を得られたので、ちょっと遅くはなってしまいましたが3年越しに約束を果たすことができました。
セカンダリー取引とは、既に発行され、誰かが保有している株式を売買する二次流通取引の総称です。未上場スタートアップの場合、創業者・従業員・初期投資家が保有株を売却して資金化する手段として使われます。一次取引(新株発行による資金調達)とは異なり、会社への新規資金流入はありませんが、希薄化を伴わずに新たな投資家を迎えられるので、例えばレイターステージのスタートアップが機関投資家等から資金調達を実施する際に一次取引と併用するかたちで活用されています。
私が現在経営している Nstock 社では、日本での非上場スタートアップの株式やストック・オプション(を権利行使して株に変えたもの)を売却できるセカンダリー取引所の開業準備を進めております。セカンダリーで大金を得た人のお金の使い道の1つとして、寄付文化もつくれたらいいなと思っています。
将来的にはDAF(Donor Advised Fund)のような仕組みも Nstock でつくりたいなと思っています。DAFをざっくり解説すると、キャピタルゲイン等が発生した年に先に寄付をして寄付控除のメリットを受け、何の活動に寄付するかを翌年以降にじっくり選べる仕組みです。例えば12月にIPOしたスタートアップの創業者が、年内に寄付先を探して寄付を実行するのは現実的ではありません。DAFのような仕組みがあれば、寄付控除の枠を有効活用し、失われていたかもしれない寄付の機会を活かせたり、寄付額の増額も望めるかなと思っております。
メディア掲載と、起きたこと
日経新聞さん

寄付するきっかけをくださった寺田さん、山田さんと一緒に日経新聞さんに掲載されてうれしいです。
Forbes さん
一部引用です。
私も死ぬ時に寄付するだろうと漠然とした思いはありましたが、『なるべく若いうちに寄付しよう』という思いに変わりました。話をいただいた3年前は、神山まるごと高専はまだ開校前。ちょっと遅くなってしまって、3期生の合格発表のタイミングになってしまいましたが、今寄付するのと、それこそ私が死ぬ頃の40期生のタイミングでは全然重みが違うなと
実は、Nstockの同僚のお子さんが神山高専さんに興味をもってくれました。一緒に神山高専さんを見学しに行く機会がありそうです。こういったことも、いまの年齢での寄付だから得られる体験なんだなと思いました。
Stock Journal(Nstock のオウンドメディア)
一部引用です。
アンリ:たしかに(笑)。そして2つ目のポイント「若くて、挑戦中である」です。宮田さん自身が「若くて、挑戦中である」ということが、とてもいいですよね。
一般的に多額の寄付は、日本では経営を引退された方が寄付をしたり、亡くなった方が遺贈寄付をすることも多いです。しかし、宮田さんはまだ40歳で、非上場のスタートアップ企業を経営している。現役の経営者が10億円の寄付をするというのは「寄付は年齢を重ねてから行うもの」というイメージを覆すきっかけになったのではないかと思っています。
ありがたいコメント。
実際にプレスリリースが出た日は、過去にないくらい知人の経営者からも寄付についてたくさんのメッセージをいただきました。少しでもいい影響があったらうれしい。
徳島新聞さん
実家に、自分が掲載された徳島新聞さんの紙面を郵送したら、父から「すごいけど、親にも車でも買ってくれ〜い」と言われました。そりゃそう思うか。
一緒にスタートアップエコシステムをより良くしませんか?
今回、私がこれだけ大きな金額の寄付ができたことは、スタートアップエコシステムのおかげです。
これからの時代、新しい世代のお金持ちの多くは、スタートアップから生まれてくると思っています。そして、そのお金はスタートアップエコシステムや、日本をよくするためのお金として、循環していく社会がつくれたらいいなと思っています。
Nstockでは、一緒に働くメンバーを募集しているので、よければ採用サイトをチェックしてみてください。最近は、特にセールス職と、ソフトウェアエンジニア職を急募しています!
Nstock株式会社 採用サイト | Nstock Recruit Site recruit.nstock.co.jp
日本語ラップ好きの皆さんへ
一部の方から「ブログの最後の日本語ラップコーナーを復活してほしい」という声をいただくので、しばらく復活中です。
CHICO CARLITO-Never Go Back(short ver.) youtu.be
CHICO CARLITO の3年前にリリースされた曲「Never Go Back」が、DIE WITH ZERO と重なるところもあり、寄付を決めた当時にも聞いていました。
YouTube には short ver の MV しかなかったので、Apple Music や Spotify などでフルで聴いてみてください!
命は死ぬ前に、お金は死んだら、
もやし遣い切る片道キップ
あの日から俺は Never Go Back
お前の分まで稼ぐ Baller
あの日から俺は Never Go Back
手に入れていくこの通り
遣い切って向かうぜそっち
おわり