宮田昇始のブログ

Nstock と SmartHR の創業者です

Nstock の採用資料について解説します

こんにちは、Nstock の宮田です。

昨日、Nstock の採用資料を公開しました。まずはこちら↓をご覧ください。  

 
本日のブログは、この採用資料の解説です。公開した経緯や、苦労した点、注目して欲しい点などを書いていきます。

埋もれないよう、最初からデザイナーと作った

2018年に SmartHR 社の採用資料をつくって以来なので、約4年ぶりの新作です。

この「採用資料をスライド形式で作成して Speaker Deck にアップロードし、色んな Web サイトやブログに埋め込みまくる」という手法、いまでは当たり前のように見かけるようになりましたが、2018年当時は同様の施策をやっている会社がいなかった為、新しい採用広報の手法としてとても話題にしていただけました。

いま見たら、SmartHR の採用資料はなんと4年で320万回も見られています。いちスタートアップの採用資料がそれだけ見られるってすごいことですね。ありがたいです。今回も、100万回くらいは見られたい。

さて、SmartHR のときは、自分でつくった Keynote をほぼそのまま公開しただけでしたが、当時と違ってこれだけ色んなスタートアップが採用資料を公開している現在では、最初からクオリティ高いスライドにしないと埋もれてしまうなと思い、Nstock の採用資料はスタート時点からデザイナー上谷さん( @utmy5 )と2人でつくりました。

Slack を遡ってみると、11月18日から作りはじめたので、公開までおおよそ3週間かかったことになります。長かった。

ここで、あるスライドの私がつくった「原案」と、上谷さんがつくった「完成版」をご覧ください。

原案

グラフの出典: Udemy メディア

完成版

いや〜デザイナーの力ってすごいですよね。

採用に困ってたのでつくりました

2018年の SmartHR のときも「半年間エンジニアの内定承諾が0件」という採用がピンチのタイミングで公開しましたが、今回も Nstock でエンジニア採用に困ったので作成することになりました。

と言うのも、Nstock 設立直後はそれなりにエンジニアさんからの応募があったのですが、最近エンジニアの募集を再開したらエンジニアさんからの応募がめっきり減ってしまっていて困ってしまいました。

そこで、Twitterでもアンケートをとってみたら下記のような結果に。

結果、僅差ではありますが「事業領域( SO や金融)に興味がない」が1位に。

たしかに、Nstock 事業の全体像は意図的にあまり発信してこなかったんですが「この結果を見てしまったら発信せざるを得ないなと」思い、採用資料をつくって公開することにしました。

注目ポイント

1. 公開にあわせてミッションを変えた

P2 - Nstock の新ミッション

新しい Nstock 社のミッションは『スタートアップエコシステムをブーストし、 日本から Google 級の会社を生み出す』です。

ご存知の方もいるかもしれませんが、Nstock のミッションは設立1年ですが既にver.3です

  • ver.1 『株式報酬の常識を覆し、国内スタートアップを次のステージへ』
  • ver.2 『株式報酬と金融で、スタートアップのエコシステムを強くする』
  • ver.3 『スタートアップエコシステムをブーストし、 日本から Google 級の会社を生み出す』

言っていること自体はずっと同じなんですが、ワーディングだけ調整しています。ver.3 では遂に「株式報酬」と「金融」という単語をカットしました。事業自体は「株式報酬」と「金融」なのですが、これは How の話だし、ミッションからは削っちゃっていいかなと。

逆に新しい要素として「日本から Google 級の会社を生み出す」を付け加えました。「スタートアップのエコシステムを強くする」だけだと、「……で?」「強くなったからなんなの?」みたいな感じになると思ったので、その先をイメージしやすいように具体的なワードを選びました。「日本経済を強くする」でもいいかなと思いましたが、少し遠い気がしたのと、プロダクト開発に関わる人達がテンション上がりそうな「日本から Google 級の会社を生み出す」を選びました。

※ 採用資料を見てないと「?」だと思うので、ぜひ先に採用資料をご覧ください

2. 巨大なビジネスになるよ

P5 - スタートアップから産み出される資産規模

P27 - Nstock による資産の循環

「株式報酬SaaS」と聞くと多くの人が「でもそれTAM小さくない?」と思うようで、カジュアル面談やカンファレンス等でも「事業規模は小さいですよね……?」と聞かれます。

そこで「いやいや、その先の金融事業まで含めるとめっちゃ大きいよ!」と伝えるスライドを用意しました。

この2021年の数値は、フェルミ推定ではなくコバケンさん( @kensan_01 )が2021年に IPO したスタートアップの「Ⅰの部」を全部チェックして、経営陣と従業員の持ち株や SO とデータを細かく積み上げて算出した数字です。

株価が1/3程度にクラッシュしている現在ですが、2021年に IPO したスタートアップの経営者や社員さんの保有株式や SO の価値は、それでも1.2兆円もあるんです。

この金額は今後も毎年上がっていきますし、なにより毎年新しく IPO するスタートアップが生まれるので、これだけの資産が毎年生み出され、積み上がっていきます。これって、なかなかすごい規模じゃないですか??

この巨大なマーケットに対して「スタートアップで働く人達が、資産の面でも報われる」為の金融ソリューションを提供していく予定です。

3. 株式報酬のオペレーション、マジでヤバい

Nstock には、メルカリで株式報酬の責任者をしていた野瀬さん@azaz_climbs )がドメインエキスパートとして働いています。彼女から株式報酬のオペレーションの話を聞く度に「株式報酬のオペレーション、マジでヤバい……」となります。

とは言え、ほとんどの人はそれをイメージできないと思うので「どうやって伝えよう?」「伝えたいこといっぱいあるな」と思った結果、野瀬さんのコメントをビッシリと貼り付けたスライドになりました。

P19 - オペレーション・リテラシーの課題

小さいのでスマホだと見づらいと思いますが、ぜひ1個1個読んでみてください。けっこうおもしろいと思います(おもしろくはない)。

スライドにも書いてますが、SmartHR 初期に「年末調整」機能を開発したときにも「年末調整のオペレーションの課題ヤバい〜!」と思ったんですが、株式報酬のオペレーションはその比ではなかったです。鬼ヤバい。

ちなみに、この野瀬さんの話をインタビューにした記事もあるのでよければこちらもご覧ください。

journal.nstock.com

4. Nstock 社の働き方

P35 - Nstock 社の働き方

ちょっと小ネタっぽいんですが、スライド右側の「あした出社する人〜?🙋‍♀️」の bot がすごい便利なのであえて載っけてみました。オススメです。

あと、時短勤務とフルフレックスを活用して週休3日を実現しているメンバーもいるので、今後の資料アップデートでその辺りも触れようと思おいます。

P36 - 金融街は楽しいよ

オフィスが茅場町にあるのですが、めっちゃいいです。Nstock の事業テーマ的に東洋一の金融街と呼ばれた兜町〜茅場町エリアはドンピシャの場所です。

飲食店も充実しています。右下の焼き鳥は、お客さんがセルフで焼き鳥を焼ける立ち飲み屋で、写真の焼き鳥は私が実際に焼いた焼き鳥です。このお店はお金を入れるとキンミヤ焼酎が出てくる自販機とかもあって最高です。

また、銀行のビルをリノベしてつくられた地下のビアバーなど、おしゃれなお店も多く、老舗とモダンな飲食店が混在していて楽しいです。Slack のランチチャンネルがめちゃ盛り上がります。

5. SaaS 事業の技術スタック

P44 - SaaS 事業の技術スタック

MVP 開発では言語に Java を選択していますが、それ以降は変更になる可能性があります。また、3人中2人は Java 未経験ですが、入社後に問題なくキャッチアップできています。

現在、Nstock では3人のエンジニアが働いていますが、彼らに Nstock で働いた感想を聞いてみた記事もあるので、よければこちらも御覧ください。

blog.shojimiyata.com

あと、UI には smarthr-ui を使わせてもらっています。便利ですね!

smarthr.design

6. 株式報酬スタートアップの株式報酬

株式報酬の会社なので、スライド3枚にわたって紹介しています。

P40 - SO を2023年まで発行しない理由

P41 - シリコンバレー水準の SO を発行します

最大20%まで発行、退職しても失効しない、べスティング(段階的な権利確定)がIPO起算ではなく入社日起算など、シリコンバレー水準のSOを2023年以降に発行します。

スライドに書いてある通り、まだ発行していないのですが、方針は書くことができるなと。

色んなスタートアップの採用資料を見てみましたが、SO についてここまで具体的に書いている会社さんはあまりいなかったです。

SOについてしっかり記載していないと、採用で勝てない時代が近い将来に来ると思います。このスライドはマネしてOKなので、ぜひ自社のスライドにも掲載してみてください。

そうそう、「100%子会社だと Exit どうするんですか?」と聞かれるので、Exit の方針も書いています。

P42 - Exit の手段は3つ候補があります

候補が3つあるんですが、3つ目はぜひカジュアル面談や面接で聞いてください!

苦労した点

ズバリ、創業初期なのでまだ出せる情報が少なかった点です。

  • 評価制度(まだない)
  • 昇給実績(まだない)
  • 平均給与(人数が少ないのでまだ出せない)
  • バリュー(変更予定なので出せない) etc...

「評価制度」や「SO」については方針を明記することで、どんな考えをする会社なのかは伝わるかなとも思ったんですが、「昇給実績」や「平均給与」は何も書けるものがなかったのでスライドからそもそも落としました。

あと、これは単純に入れ忘れていた「Slack のパブリック率 / プライベート率 / DM 率」です。

Slack - メッセージが読まれている場所

Slack - メッセージの送り先

オープンな会社ですね。次回の更新で入れようと思います。

最後に

P50 - 最後に

P51 - We are hiring!

ご応募、お待ちしています!!

採用情報 | Nstock nstock.co.jp

カジュアル面談 (エンジニア向け) / Nstock株式会社 open.talentio.com

ソフトウェアエンジニア(正社員) / Nstock株式会社 open.talentio.com

おまけ: 日本語ラップコーナー

ごく一部の方に人気の日本語ラップコーナーです。

なお、Nstock 社の日本語ラップ好きの人数は3〜4人程度なので、日本語ラップぜんぜん興味なくても馴染めますので安心してください。

今回は、RYKEYDADDYDIRTY の『CRY NOW SMILE LATER』です。

ぼくは常々スタートアップと HipHop ってすごく相性がいいなと思ってまして、だいたい「ペン」は「キーボード」に、「HipHop」は「スタートアップ」に置き換えて聞いています。

↓一部抜粋

俺にはもうこれしか無いと確信した朝でも
自由とはほど遠いがそこで生きていくと決めた
志を立てた時にペンを既に持っていて
pain は pay されてまたペンは剣よりも勝る

 

どうにかして俺にできることは無えかな
考えるよりも先に躊躇なく俺はペンを動かした

この記事の中で野瀬さんに『びっくりしたのは二人とも全然ストックオプションのことを知らなかったこと。ストックオプションのテストを受けたらメルカリ社員の方が高い点数を取れそうだなと思ったくらい(笑)。』って言われてたんですが、志を立てた時にペンを既に持っていて、考えるよりも先にペンを動かしてたんだなと、自分的には誇らしかったです。

2021年俺は刑務所の中にいて
叶えたはずの夢の中でまだ溺れ続けている
中学の1年俺はラッパーにクソ憧れた
中学生もきっと今の俺に憧れてる

 

中学1年俺はラッパーにクソ憧れた
何より自由でいて正直に生きている気がした
いつまでも色褪せない俺の夢の続きは
ガキの頃に見てた夢のままでずっとこのまま

ぼくは26歳のときに映画「ソーシャル・ネットワーク」を友人たちと映画館に観に行って、そこからスタートアップに強烈に憧れはじめました。そんな気持ちを思い出します。

ちなみに、SmartHR の共同創業者の内藤さん( @kakipo )や、Nstock の共同創業者の高橋さん( @ma5abe )は、そのとき一緒に映画を見に行ったメンバーです。エモい。  

俺は数年前パチ共を全て告発して
HipHop の第一人者としてまた名乗りをあげた
ムショにぶち込まれても誰に dis られても
俺が信じた HipHop で全て叩き潰してやった

繰り返しになりますが「HipHop」を「スタートアップ」に置き換えるとテンションが上がります。

あと、この曲は HipHop の世界に飛び込もうとしている人たちに発破をかけている曲だと思って聴いているのですが、スタートアップに飛び込もうと思っている人達にも刺さるかなと思っています。

さて、お前はどうする次はお前の番だぜ
今までみたいにビビって見てるだけもアリだぜ

 

お前が死んだら死ぬ程に生きてやる
お前が諦めたら死ぬ程笑う
死ぬ程に泣いた後死ぬ程笑う

ビビって見てるだけもアリですが、もしチャレンジしたい気持ちがあるなら、Nstock で一緒にスタートアップしていきましょう!

(おわり)