ハイテク都市深センに行ってきました
SmartHRの株主でもある千葉功太郎さんの出資先スタートアップ数社で、中国のハイテク都市「深セン」に1月の3連休を利用して行ってきました。
自動コンビニや、アリババのO2Oスーパー、Mobikeでの移動なども体験し、現地スタートアップのオフィスにも4社ほど訪問させていただきました。
深センのハイテクさを紹介する記事はたくさんあるので、今回はハイテク以外の話を2つ書きたいと思います。
↑テンセント本社ビル。中国語でインターネットを表す「互い」の文字をモチーフにしているそう。
1. 行政のスタートアップ推しがすごい
深セン発のユニコーン企業は14社あるそうです。中国発ではなく、深セン発で14社。
アリババやバイドゥのような「深セン発ではないけど、深センに支社がある企業」も含めると、もっと多くのユニコーン企業が深センに集まっています。
今回、オフィス訪問させてもらった4社のうち2社はユニコーン企業で、両社とも創業3〜4年くらいでユニコーンになったとのこと。めちゃ早い。
個人的には、深センといえばドローンのDJIってイメージが強かったけど、「DJIもそのうちの1社にすぎないんだ」という感覚になりました。
なぜ、深センからそんなに多くのユニコーン企業が産まれるのか?人口の多さ、国土の広さ、何もなかった場所が経済特区になったなど、様々な理由があると思いますが、印象的だったのは「行政のスタートアップ推し」です。
このオブジェ、深センのいろんなところで見かけるのですが、「共産党と一緒にスタートアップしよう!」と書いてあります。
違う面には、「深センと世界に距離はない」とか、スタートアップを鼓舞するメッセージが書かれている。
↑これはまた別の場所なんですが、こんな感じで色んな場所にオブジェがあります。
それ以外にも、街中にスローガンがたくさん飾ってある。
工事現場の壁に「イノベーション!」とか「我々は失敗に寛容です」とか書いてあったり。
大きな道路の名前も「創業1路」「ハイテク1路」など夢のある名前がついています。(道路の名前はうろ覚えなので雰囲気で書いてます)
なんか背中おされますよね。
↑これはテンセントやバイドゥのビル近くにある、南山区の産業パークの地図です。
看板の左から「VC/インキュベータ」「金融」「プラッフォーマー(法律、人材など)」など、スタートアップを支援する機関が密集している。
この産業パークにあるスタートアップを支援している機関たちのロゴ。
規模的には、渋谷駅周辺が丸ごとスタートアップ支援に特化した街になってる感じです。
こういう産業パークが南山区だけでも複数あるそうです。(深センには南山区のような区が10区あります。)
↑産業パーク内には、店舗型の実験施設があり、自動コンビニのほうな店舗系のスタートアップが実証実験をできるようにもなっている。
また大学の誘致も盛んです。深セン発の大学は2校しかないそうなのですが、北京大学や、清華大学をはじめ60校もの大学を誘致している。誘致するために、研究センターに莫大な投資をし、各大学の研究所をおかせている。
同行者たちのなかで「まるでシリコンバレーみたいだよね」という言葉が出てきたのですが、ガイドさん曰く「深センにとって、シリコンバレーは憧れの場所でもあるけど、抜けるであろう目標という感覚がある」そう。
また、街を歩いていると街全体で「多産多死」を実現していると感じます。
Mobike もここ2〜3年で爆発的に類似サービスが増え、そのほとんどは死んでいったそう。写真のグリーンの自転車も、すでにサービスが終了しているとのこと。
自動コンビニですら「新しい自動コンビニの店舗が増えた」「あ、そこもう潰れたらしいよ」「うそ、早いですね」みたいな会話がガイドさん同士でなされます。
街の至る所でビルが建設中です。ずーっと西新宿の高層ビル群が続いている感じ。
「あのビルすごい形!」「去年の12月にできた」「あっちのビルめちゃ高い!」「あれは10月」など、リアルタイムで街が育ってる。
↑頭ひとつ抜けたビルは世界4位の高さで約600メートルあるそう。手前のビル群も200メートル級(六本木ヒルズとかミッドタウンくらい)はありそうなのに、めちゃ小さく見えます。
深センは世界TOP50に入るビルが21本あり、完成したら世界1の高さになる830メートルのビルも建設中とのこと。
「このビルの1Fは去年までは○○だったけど、今年はデカい物流会社の研究施設になった」みたいなのも多く、入れかわりも激しい。
ガイドさんが「見切り発車ではじめて、多産多死をしようっていう文化が、街にも行政にも根付いている」と言っていて、マジでそのとうりだなと肌で感じました。
最近、日本国内でも「スタートアップを盛り上げよう!支援していこう!」という雰囲気は感じますが、なんだか規模や本気度が桁違いだ思いました。
日本の「J-Startup」のような取り組みを見て、最初はピンと来てなかったんですが、国内からユニコーン企業をたくさん産み出していくには、たしかに行政の協力が必要で、規模や本気度は上げていかないと差をつけられる一方だなと感じました。
テンセントの本社、夜もめっちゃかっこいい。
次回に続く
一本にまとめようと思ったんですが、長くなったので二本にわけます。
次回は「2. 街がビジョナリー」って話を書きたいと思います。
今日はこの辺で。