61.5億円を調達しました
SmartHR社はシリーズCラウンドとして、国内外の新規投資家および既存株主から61.5億円を調達しました。
今回は、普通の「第三者割当増資」と「Convertible Bond(新株予約権付社債のこと。以下CBと記載)」の2つの手法を使っていて、第三者割当増資で約55億円、CBで約6.5億円という内訳です。
シリーズBまでに約20億円のエクイティでの資金調達を実施しており、このシリーズCで累計調達額は約82億円になりました。
国内の新規投資家について
国内の新規投資家は、先日ニュースになっていたシニフィアンさんの「THE FUND」と、今回が初のお披露目になった前田ヒロの「ALL STAR SAAS FUND」です。
両方ともファンド名の思い切りがすごい。
海外投資家も「すごい名前だね 笑」と言っていました。
今回は、両社にとっての記念すべき投資1号案件になることができました。選んでくれたシニフィアンの村上さん、小林さん、朝倉さん、そして前田ヒロに深く感謝しています。
海外の新規投資家について
海外の新規投資家は「Light Street Capital」と、非公開のもう1社「Sequoia Heritage」、計2社からの調達です。
Light Street Capital はたぶん日本ではあまり馴染みがないので、初めて聞く人が多いと思いますが、サンフランシスコにある数千億円規模の投資ファンドで、Slack、Shopify、Twilio、Uber、Pinterest、Spotify、Toast、Harry’s、Everlane、ezCater、BlackBuck などに投資しています。
え、投資先めっちゃすごい。
そして、名前を出すことができないのが本当に残念なのですが、非公開の海外投資家1社は「世界で最も著名な投資家のうちの1社」です。
(2020/9/24追記)
非公開の海外投資家が名前を出してOKになったので追記です。もう1社の海外投資家は「Sequoia Heritage」という、あのセコイアのファンドで長期投資を目的としたグローバル機関投資家です。
彼らのような素晴らしいファンドが、我々のような日本のスタートアップに出資してくれたことを誇りに思います。
既存投資家からの追加投資
今回は既存投資家の「SmartHR SPV」「WiL」「BEENEXT」が追加出資してくれました。
SmartHR SPV は Coral Capital(旧500 Startups Japan)が運用する「SmartHRのシリーズBに出資するためだけにつくられた専用ファンド」です。
SmartHR SPVは第三者割当増資に、WiLとBEENEXTはCBに参加しています。
前田ヒロはBEENEXTとしても、ALL STAR SAAS FUNDとしても出資してくれていて、彼がSmartHRに賭けてくれているのが伝わり、とても嬉しいです。
また、今回のラウンドはこの3社からのサポートが本当にありがたかったです。全部で10社くらい海外投資家と話をしたのですが、そのほとんどが彼ら3社からの紹介です。
特にCoral CapitalのJamesは同席した海外投資家とのミーティングでも、もちまえの営業力で彼らをグイグイ引き込んでくれるので、とても頼もしかったです。今後も頼りにしています。
また、CBをスピーディに意思決定してくれ、(詳しくは書けませんが)数々のワガママを聞いてくれたWiL 難波さんには頭があがりません。本当に感謝しています。
なぜCBをつかったのか?
なぜCBを使ったかというと、最高のタイミングで第三者割当増資を実施するための「つなぎ」です。CBでの調達自体は年始ごろに実施をしました。
6月頃に各KPIや事業進捗が最高の状態になることがわかっていたので、そのタイミングまで待ちたかったのですが、キャッシュが心もとなく、デットでの調達も時間がかかりそうだったので、CFOの玉木の発案でCBを検討しました。
既存株主にCBでの調達を相談すると、WiL 難波さんがスピーディに意思決定してくれ、キャッシュに余裕ができたため、各KPIや事業進捗を最高の状態になるまで待つことができ、より良い条件での第三者割当増資を実現できました。
繰り返しになりますが、WiL 難波さんがスピーディにCBでの投資を決めてくれたことに深く感謝しています。
なぜグロースファンドなのか?
CBで余裕ができたこともあり、第三者割当増資は3月ごろから少しずつ動きはじめていました。
しかし、当時は「THE FUND」「ALL STAR SAAS FUND」はそもそも存在していなかったので、当初は候補ですらありませんでした。
国内のレイターのVCさん・事業会社さんをまわるなかで、ポストIPOに向けた資本政策なども考えるとモヤモヤすることもありました。その過程で、IPO後も長期にわたって保有することを前提とした「グロースファンド」のような存在が国内スタートアップのエコシステムに欠けていると感じるようになりました。
グロースファンドの利点は、成長企業への長期保有を前提としているので、上場時に売り気配の少ない株主とみなされやすいこと。そして、長期にわたってスタートアップと利害関係がそろうので、会社の成長によりそった支援を実現できることです。なので「これはポジショントークかな?」とかあまり気にしなくてよさそう。
そんなグロースファンドを待望しているときに、アドバイザリー契約を結んでいたシニフィアンさんと、既存株主の前田ヒロから「グロースファンドをつくるから自分たちから調達しないか?」と声がかかり、トントン拍子に話が進みました。
いろいろなタイミングが重なった、奇跡のような話だなと、いま振り返っても感じます。
海外投資家からの調達について
長くなりそうなので次回以降のブログで!
まとめ
ダイヤモンドさんの記事で「ユニコーンは通過点」というインタビューが出ていましたが、本当にそう思っています。
今回入っていただいた新規投資家も、その目線でSmartHRに投資をしてくれています。
SmartHRを、SaaSの歴史、インターネットの歴史に残るような、偉大なプロダクト、事業に成長させていきます。
次回予告
資金調達のブログ、本当は1記事にまとめたかったのですが、3万文字の超大作になっちゃいそうだったので数回に分けて書くことにしました。
次回は、
- 海外投資家から資金調達をするということ
- 海外投資家とのパイプがあるVCが選ばれるようになる
- Churn RateとNRRがとっても重要になってきた
- 61.5億円の使いみち
- グローバル化は資本 > 人材 > ビジネスの順でやってくる
- 会社の成長にふりおとされないか?
のどれかを書きます!