こんにちは、SmartHR / Nstock の宮田です。
新会社 Nstock は、スタートアップ企業の皆さんを対象顧客にした事業です。なので、今後はスタートアップ経営に役立ちそうなネタもブログに書いていこうと思います。
前回は、社名やプロダクトの「ネーミング」について書きましたが、今回は「会社設立日の決め方」について書きます。
先に結論を書いておきますが、何の日でもいいです。好きな日にしましょう。ただ、決算月だけ気にしておきましょう。
SmartHR の場合
まず、SmartHR の設立日は2013年の「1月23日」です。
いま調べてみたら「大安」だったみたいですが、当時はあまり気にしていませんでした。
そして、会社設立後の最初の2年間は本当にしんどかったので、今でも大安は全く信じていません!
12月決算にしたかった
まず「1月」に設立した理由ですが、決算月を「12月決算」にしたかったからです。
これは、新卒時代に働いていた会社の受け売りなのですが、その会社は「当社はグローバル企業を目指しているので、一般的なグローバル企業と同じ12月決算にしている」と言っていました。
起業当初の僕たちは、グローバル企業を目指していたわけではなかったのですが、その新卒時代の話がなんだか印象に残っていたので、自然と12月決算にしました。わかりやすいですしね。
僕らは2012年11月頃から起業準備をしていました。11月に設立登記しちゃうと、すぐに決算が必要になるため、翌2013年の1月以降まで設立を待つことに決めました。
ちなみに、現在の SmartHR では、海外投資家も増えたこともあり「IFRS(国際財務報告基準)」を適用しています。最初から海外投資家に馴染みやすい決算サイクルになっていたので、途中で決算期を変える必要もなく、(狙ったわけではなかったですが)結果的に良い判断でした。
覚えやすさ重視で「123」にした
1月であれば何日でもよかったのですが、覚えやすさ重視で「123」の「1月23日」にしました。
本当にそれだけです……。
エイプリルフールにする案もあった
他には「4月1日のエイプリルフールに設立しよう」という案もありました。
エイプリルフールに「会社を辞めて起業しました!」と SNS に投稿して「え、ウソ?ホント?」と思わせたかった。それだけです……。
共同創業者の内藤さん( @kakipo )が2月末最終出社だったので、本格的な仕事初めは3月1日の予定でした。
なので、エイプリルフールまで待てると言えば待てたのですが、先んじてオフィスを借りておきたかったので、早めに1月23日に設立登記しました。
ちなみに、2月末までの数カ月間は、週末にカフェやコワーキングスペースに集まってプロダクトの企画や開発をしたり、オフィス家具をIKEAに買いにいったりしていました。なつかしい〜。
Nstock の場合
Nstock は1月24日が設立日です。その理由を書いていきます。
1月設立が都合が良かった
Nstock の事業は、昨年9月中旬に Slack 上の雑談から生まれたアイデアです。10〜11月にかけてアイデアを温め、12月の取締役会で設立に承認がおりました。
Nstock 社も12月決算なので、翌1月の設立は都合がよかったです。
また、私の SmartHR 社の社長退任も2022年1月1日付けだったので、その点でもタイミングがよかったです。
土日祝日は設立登記できない(!)
今回も覚えやすさ重視で、SmartHR 社と同じ「1月23日」に登記しようと思っていました。
しかし、SmartHR の法務 小嶋さん(この note 書いた人)に相談したところ「1月23日は日曜日なので登記ができないかも?」という回答が。そんなことある??
これ、今回初めて知った(忘れていただけかもしれない)んですが、土日祝日は法務局が休みで設立登記ができないそうなんです……。
オンラインで365日いつでも設立登記できるようになることを願います😇
少し脱線: SmartHR 本体のコーポレート+人事の皆さんに感謝
ここで少しだけ脱線します。
↑の法務 小嶋さんとのやり取りでもわかる通り、今回の設立登記は全て SmartHR 本体のコーポレートチームの皆さんが対応してくれました。 設立だけでなく、バックオフィス業務全般をサポートしてくれています。
採用オペレーション、経理業務、商標調査&申請(海外含む)、出向手続き、契約書等のリーガルチェック、プレスリリース配信、情シス業務 etc……。新入社員が入社したらPCのキッティングまでやってくれるそうです。神か?
特に、採用オペレーションまわりのアレコレは差し迫った課題だったので、めちゃくちゃ助かりました。連絡メールや条件通知書などあらゆるドキュメントの雛形をもらったり、リファレンスチェックや、設立前は一部候補者の方との連絡も手伝ってもらいました。
会社が大きくなると、そのありがたみを忘れがち(≒ 気付きにくくなる)なんですが、Nstock をスタートしてからコーポレートチーム + 人事チーム + 広報チームのありがたみを20倍くらいで感じています。
最初から採用とプロダクトだけに集中できる環境になっていて最高にありがたい。
SmartHR のコーポレートチーム + 人事 + 広報の皆さん、いつも本当にありがとうございます……!
2つの理由で「1月24日」に決めた
さて、「1月23日」に設立登記が出来ないとわかったので、他の候補日を探しはじめました。
先述の通り、Nstock の設立日は「1月24日」です。それに決めた2つの理由を紹介します
理由1) 1月24日は「ゴールドラッシュの日」
「今日な何の日?」的なサイトで、1月の記念日や出来事を調べていたところ、1月24日は「ゴールドラッシュの日」という記述を見つけました!
1848年のこの日、アメリカ・カリフォルニアの製材所で働くジェームズ・マーシャルが川底にきらりと光る金の粒を発見した。 仲間と秘密を誓ったが、この話は大きな噂となって全米に広まった。やがて一獲千金を夢見る男たちが殺到し、「ゴールドラッシュ」(Gold rush)が起こった。 1849年に金を求めてカリフォルニアに集まった人々はその年から「フォーティナイナーズ」(Forty-niners、49ers)と呼ばれた。ゴールドラッシュは、新しく発見された金の採掘地に人々が殺到することを意味する。(引用元)
これは持論なのですが、昨今のスタートアップはある種のゴールドラッシュだと思っています。
10年前よりも、スタートアップに関するノウハウや、起業家コミュニティ、リスクマネーの共有が増え、とても起業しやすい環境になっています。
実際、コンサルファームや投資銀行のような、非IT業界出身者がスタートアップを起業する事例が増えていると感じています。ファームにいるよりスタートアップを起業するほうがアップサイドの夢があるし、その成功確率が低くはないことにみんな気が付き始めて、ゴールドラッシュ状態になっているのではないかと思っています。
(もちろん、お金だけじゃなくて、ビジョンの実現や、自分の実力を試したいなど、他の要素も大事ですよね。わかりやすさ重視でこう書いています。)
Nstock は、一獲千金を求めてスタートアップを起業した人達や、初期のスタートアップに飛び込む人たちが、大金を掘り当てるためのツルハシ(ストックオプション)を、より効果的かつ使いやすくする会社を目指しています。
余談ですが、他の候補日として「1月8日」の「勝負の日」もありました。イチかバチの勝負ということらしいですが、これまた土曜日で法務局がお休みでした。オンライン化して〜!
理由2) SmartHR より一歩先の未来を目指す
どうせやるからには、親会社である SmartHR を超える事業をつくりたいと思っています。
同じ設立日にできなかったのは残念でしたが、「1月23日」よりも1日先の未来である「1月24日」設立は、かえって良かったかなとも思っています。
当初は「一歩先を目指す」と言っていたんですが、SmartHR のエンジニア 森住さん( @t_morizumi )に「1月23日のほうが1日先にやってくるのでは〜??」とド正論を言われたので「一歩先の未来を目指す」と言うように変えました!
ちなみに、最初は半分冗談で「親会社を超えるぞ(流石に無理そう)」と思っていたんですが、事業アイデアが膨らみ続けるなかで、「うまくいけば、本当に超えられるかも??」と思えるようになってきました。
親会社を超えるぞ〜〜!(イケる気がする)
外為法で「島流しの日」にされそうだった
難しい単語が出てきますが、マジメな話ではなく、ちょっとした小話です。
SmartHR は外資系企業(外国投資家)あつかい
親会社として Nstock に出資をした SmartHR は、外為法との関係では、「外国投資家」というあつかいになっています。
これは、株主の海外比率が高い為です。Sequoia や Whale Rock のような海外投資家だけでなく、いわゆる日本のVCである ALL STAR SAAS FUND や WiL もシンガポールやシリコンバレーに籍を持つファンドであるため、SmartHR は海外資本比率が高いとみなされています。(ざっくり)
会社設立に日銀の審査が必要
外為法は「安全保障上の技術流出防止」等を目的とした法律で、その設立趣旨は重要なものではあると思うのですが、我々のような国内スタートアップにとって、ちょっと厄介です。
例えば、会社設立も含めて外国投資家が日本のITスタートアップに出資(対内直接投資)をする場合、実行前に日銀や所轄省庁に届出をして審査を受ける必要があるケースが多く、その審査には原則30日間(※)の期間がかかります。
(※)ただし、国の安全を損なわない事案の場合は30日から2週間に短縮されます。また、さらに審査期間の短縮ができるとジャッジされた事案については受理から4営業日を経過した日までに完了してもらえるケースが多いです。
SmartHR は過去に8回も子会社を設立しており流れはわかっているので、今回もその過去の審査期間を踏まえつつ少し余裕をもって1月11日に申請していました。
許可されず、1月24日設立できないかも…?
ところが、今回は前営業日の朝時点で許可が出ておらず、「今日中に審査が終わらないと1月24日に設立できない…?」というピンチがありました。
原則的な審査期間は上記の通りであり、もともと1月11日に申請しても審査が終わる保証はなかったのでこちらが悪いのですが、過去の設立実績からすると十分間に合うと思ってしまっていた。
その為、慌てて日銀さんに連絡をとって、審査の進捗はどうか、終了はいつになりそうか(というか何とか今日中に終了してほしい!)と確認するというドタバタがありました。
結果としては前営業日中に許可されましたが、セーフと分かったのは日銀の窓口が閉まる17時の2分前であり、最後までハラハラしました。
SmartHR と同じように外為法の影響を受ける会社さんはお気をつけください。
1月25日は「島流しの日」
登記申請日が遅れるかもしれないとわかった時点で、翌営業日が何の日か調べてみました。すると、「1月25日」は「島流しの日」であることがわかりました。
島流しの日……。
社長を退任して、子会社に島流し……。
新会社設立ブログのオチにも使えるし、まあいいかなと思っていたのですが、無事にゴールドラッシュの日に設立できてよかったです。
ここで後日談として供養できてよかったです🙏
まとめ
読んでわかる通り、何の日でもいいです。好きな日にしましょう。ただし、決算月だけ気にしておきましょう。海外株主比率が高い会社さんは外為法も。
それと、冒頭に書いた通り、ぼくは大安とか仏滅は全く気にしていないんですが、話を聞いてみると周囲の経営者は気にしてる人もけっこういるみたいでした。オフィスの契約をする日も気にする人は多いようで、大安の日は不動産屋さんの予約も少し混むそうです。本当??
ちなみに Nstock を設立した1月24日は「先負」でした。字面的になんか良くなさそう。まあ、答えあわせは n 年後に。
2人目のエンジニア募集中です!
Nstock では、正社員のエンジニアさんを募集中です!
先日、1人目のエンジニアさんが内定承諾してくださったのですが、年内にあと4〜5名ほど募集する予定です。私たちと一緒にチームをつくって働きましょう〜!
コーポレート + 人事 + 広報の皆さんに超お世話になっているのでそのお礼と、ライバルは強い方が燃える🔥 ということで、SmartHR 本体の求人も貼っておきます。
日本語ラップコーナー
Nstock の設立日「1月24日」には、共同創業者のまちゃさん( @ma5abe )と一緒に、東京証券取引所の目の前にある「兜神社」に初詣に行ってきました!
Fintech の事業をはじめるので、東京証券取引所の目の前にある兜神社に初詣してきた⛩
— Shoji Miyata (@miyata_shoji) 2022年1月24日
“財布ん中のしわくちゃな漱石が、いつかは立派な宝石” pic.twitter.com/ogzC7LwxWf
2人とも電子マネー派で小銭をもってなかったので、お賽銭に千円(財布ん中のしわくちゃな英世)を放り込んでおきました。ということで、今回は KOHEI JAPAN の「 Go to Work 」です。
KOHEI JAPAN は、ライムスターの Mummy-D の実弟で、週末は音楽活動でマイクを握り、平日は板前として包丁を握っている2児の父です。(Wikipediaより)
受託で食いつないでいるスタートアップや、子持ちのパパママに特にオススメです。
↓ 一部引用
毎晩ふるフライパン、客が皿を空にすれば快感
マイクでぶちまける世界観、ビートがつなぐ客との一体感
金じゃ買えない感動、こびりつく残像、跳ね返ってくる反響
残業どころじゃない努力、続ければきっと誰かに届く
マイクと包丁で金稼ぐ、愛する家族 これで食べさせる
親父の背中見て育つ子供のためにも怠けることなく
行動起こす、言葉に夢たくし、音楽史に名を残す
マイク握る、握り続ける、握り続ければ絶対芽が出る
さあ今夜もライム帳片手に、自分の為に、また金稼ぎ
財布ん中のしわくちゃな漱石(英世)がいつかは立派な宝石
Go to Work 男なら働け 空に羽ばたけ
そして手に入れようぜ札束 貫き通せ 夢があるなら
Go to Work 男なら働け 空に羽ばたけ
そして手に入れようぜ札束 見てろ 俺の底力
あと、まちゃさん( @ma5abe )にブログレビューをお願いしたときにもらったコメントを追記しておきます。
KOHEI JAPAN は「もしも息子が出来たなら…」という曲もパパママにオススメです。ぼくも宮田も子供は娘ですが。 YouTube のオフィシャルチャンネルには2008年 ver しかあがってないんですが、オリジナル ver もオススメです! by @ma5abe
とのこと!
おわり